目次へ 前のページへ

 

2.デジタルとアナログの違い

 

では、本論です。

現在いろいろなところでデジタルという言葉が出てきます。CDは勿論デジタルですが、ここにあるデジタルビデオもデジタルですね。最近普及してきたDVDもデジタル機器です。

一方で、電話や放送もデジタルになろうとしています。また通信やインターネットもデジタルですし、インターネットで買い物をしたり、音楽を買ったりすることも始まっています。こういうのもデジタルと呼ばれています。

こうしたいろいろな分野に使われるデジタルですが、最初にポイントを出しておきましょう。デジタルとアナログの違いは何か、それは

音や絵を、数字や文字で記録し、伝えるのがデジタル。

音や絵を数字や文字に変換しないのがアナログ。

 

こういうことになります。

アナログ、デジタルという言葉はいろいろな意味で使われていますが、すべてこれが基本なんですね。

詳しく見る前に、アナログとデジタルの優劣比較を上げてみましょう。

アナログ

デジタル

記録再生

物理的な形のまま、記録、伝送する

数字や文字に変換して、記録伝送する

音質

ノイズが多い。回転ムラがあり音が澄んでいない。

ノイズが少ない。回転ムラが無い。

画質(記録メディア)

まあまあ(LDはかなりよい、VHSはよくない)

かなりよい(DVD)

画質(放送)

ゴーストやノイズが多い

ゴーストもノイズもない

操作性

早送り、巻き戻し時の再生と頭出し程度

数値データはアドレス情報を活かした多彩な操作性が可能

(特にディスクメディアの場合、素早い頭出し、プログラム再生などが可能)

繰り返しダビング

音質、画質が劣化する

(VHSのダビングは数回で見るに耐えなくなる)

音質、画質が劣化しない

(DVは数回程度なら鑑賞に耐える。デジタルのままのダビングなら、何度ダビングしてもまったく劣化しない)

編集(音)

難しい。またダビングを伴うので、音が劣化する。

曲順を並べ替えてダビングするなどが簡単にできる。

またパソコン上で、細かいところまで自由に編集できる。

編集(静止画)

(銀塩写真)難しい。修正や編集は、本職の仕事

(デジカメ)データをパソコン上で編集することで、画質調整や文字の挿入、コラージュ編集などが簡単にできる。

編集(動画)

難しい。またダビングを伴うので、音質画質が劣化する。

多くの素材を並べ替えたり、つないだりして作品を作るノンリニア編集がパソコン上で可能。

エラー訂正

(記録メディア)

できない

(ノイズが入ったら、そのままになる)

できる

(ノイズなどはデータのエラーになるが、限度を超えない範囲のエラーは、完全に除去できるので元に戻る)

データ再送

(通信)

できない

できる

(ノイズなどでデータが破壊したときは、再度送信する)

長距離伝送

音質、画質が劣化する

(ノイズの多い電話、ゴーストの多いテレビ)

音質、画質が劣化しない

(明瞭な音質の電話、ゴーストのないテレビ)

圧縮(音)

圧縮できない

(高密度にしようとすると音や絵がどんどん悪くなる)

圧縮することができる

(MDやMP3のように、極端に圧縮しても、鑑賞に耐える)

圧縮(画像、動画)

圧縮できない

圧縮できる。

もともと画像はデータ量か多いので、静止画、動画とも圧縮しないと実用にならない。

補助情報の扱い

音や絵の本体のみしか記録できない

(ただしハイブリッド機ではある程度可能)

絵や音と一緒に記録できる

(カメラの撮影日時、CDやDVDのトラック番号など、あらゆる情報を記録することができる)

保存性

次第に劣化する

(ダビングして再生しようとしても元に戻らない)

劣化しにくい

(読み出せるうちにダビングすれば、元に戻る)

パソコンとの親和性

基本的に扱えない(必要ならA/D変換して扱う)

扱える

(加工や予測、制御などができる)

パソコンや携帯電話などの情報機器との親和性

ほとんどない

画像や音楽が、パソコンで処理しやすい数値データなので、きわめて相性が良い。

複合サービスの可能性

考えにくい

再生ソフト付き音楽データ、同時性を利用した投票機能付き放送など、コンテンツとそれをサポートするサービスの複合提供が可能。

(この表は、受講生にお配りしたものです) 

 

ごらんのように、デジタルはあらゆる項目でメリットがありますが、これはすべて、デジタルが音や絵を数字に直してあることで出てくるメリットです。

 

(補足、アナログと対比されないデジタル)

デジタルという言葉の対立概念は、昔はたいがい「アナログ」だったんですが、最近はアナログと対比できないデジタルの世界も広がってきました。たとえば電子化された百科事典なんかそうですね。

印刷物に記録された文字は、もともと情報を扱っていて、これをアナログというのはむりがあります。つまり、アナログという対立概念が有るわけではないわけです。

百科事典というのは、もともと情報を提供する媒体です。それを紙に印刷するのではなく、情報を電子的な符号に置き換えたわけです。もちろんこれもデジタルです。

ですが、これを扱うのは、このデジタル講座ではなく、多分、別のパソコン講座のようなものだと思います。ですので、この分野に踏み込むのはやめておきます。

で、今日は「もともとアナログだったものがデジタル化されたこと」によるメリットに焦点を絞って理解して行くことにします。

 

では、一番基本となるアナログとデジタルの変換のところから見て行きましょう。

 

(制作/著作 かないまる 2000年7月1日)
(字句修正 2000年7月15日)

次のページへ