19.
ゴーストも出ない
まだ始まっていませんが、テレビの地上波デジタル放送が始まると、やはりノイズのない画が楽しめるようになりますが、中でも大きいのが、ゴーストが出ないということです。
(以下の話は、東京近郊の状況に基づいています)。
みなさんのお宅のテレビは画が二つ重なって見えたりしませんか。東京近郊では東京タワーの電波が強いので、きちんとアンテナを建てれば画像が二つ見えることはありませんね。しかし画面の中央にストライプ状の筋が見えることは比較的よく経験するでしょう。
このストライプは、実は正規の電波と遅れてきた電波が混ざることで出る縞です。遅れてくる電波ってなんだと思いますか。原因は高層ビルの反射なんですね。現在は高層ビルが増えてきましたので、ストライプが拡散して見易くなってきましたが、新宿周辺に高層ビルが集中していたころは、非常に強いストライプが見られました。
テレビ放送は地上波もデジタルになる方向ですが、デジタルになると、このゴーストが出なくなります。
この図は、上がオリジナル。下が高層ビル等で反射してきたゴーストです。ゴーストはレベルは下がっていて、1ビットの幅の一個半分の時間遅れで到着しています。
この、オリジナルとゴーストが混ざった波形が、三番目の波形ですね。もうなんだかずいぶんグチャグチャになって見えますね。
しかし、これもノイズの場合と同じように、波形の中央で判定ラインを作り、0か1かを判断すれば…
このように、データは見事に元に戻ります。デジタルテレビでは、絵も音もいずれもこのデータに基づいて組み立てますから、ゴーストの影響は全く受けなくなります。
(制作/著作 かないまる 2000年8月27日)
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