かえし
更新 040124
初稿 010921
ここからは「つゆ」編です。
つゆをつくるには、まず「かえし」を作ります。これを最低一週間、できれば一カ月以上寝かせて丸くします。そのあと「だし」をとり、「だし」と「かえし」をまぜるとつゆになります。かえしの寝かしは長期になりますので日数を要する作業ですが、かえしの仕込み自体は簡単な作業です。
ではかえしを作りましょう。かえしは醤油と砂糖とみりんを合わせて煮て、それを冷まして寝かしたものです(このように加熱して作るかえしを「本返し」といいます)。
1.材料
醤油 500cc
ザラメ 106グラム
みりん 116グラム
あるいは
醤油 1リットル
ザラメ 212グラム
みりん 232グラム
あるいは
醤油 1.8リットル
ザラメ 381グラム
みりん 418グラム
かえしは常温で持つものですし、煮物の味付けにもとても便利ですので多めに作りましょう。私は毎回醤油一瓶 (1.8リットル) で仕込みますが、カミさんも煮物がおいしくできるとよろこんで使ってくれますので、1〜2カ月で使い切ります。残りが1/3程度になったら次を仕込みますので、使い始めで2〜3週間は寝かしてあることになります。
材料の詳細、購入先などはコラム(c)編25番に移しましたので、そちらをご覧ください。
以下の画像は醤油500ccで撮影しています。
まずみりんと砂糖を計量しておきます。電子ばかりを使って正確にやってください。好みに合わせて甘味を増減する場合は、砂糖またはみりんの量を変えますが、計量しながら変更すると速やかに好みの味にできます。
次に醤油を計量します。メスカップで結構ですが、醤油の比重がわかっている場合は重量でやったほうが正確です。そば膳と本膳は比重が1.19ですから、596グラムで500ccとなります。
では作ります。まず醤油を鍋に入れて火にかけます。
火力は弱火にします。ゆっくり加熱したほうが温度が管理し易いことと、なべの内側のついた醤油が焦げることを防止できます。家庭用の鍋は浅いので、火炎がまわって醤油が焦げやすいので気をつけてください。
プラスチック製か陶器製のスプーン (チリレンゲなど)で攪拌しながら温度計で温度を監視しながら温めます。なお火炎が温度計をあぶると、温度計の赤い液線が切れたり、ガラスが割れたりしますので注意しましょう。
温度が83度になったら一度火を止めます。温度計がない場合は、オレンジ色の泡がうっすらと広がりはじめたくらいで火を止めてください。
ここでザラメを入れます。攪拌してザラメを溶かします。
ザラメ投入から5分したら、再び火をつけて加熱します。ザラメが完全に溶けていなくてもここで溶けますので大丈夫です。温度が83度になったらもう一度火を止めます。
ここでみりんを入れ、再び5分放置します。
5分経ったら再び火をつけます。これが三回目の加熱となりますが、この最後の加熱の打ち切り温度により、かえしの性格を変えることができます。
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・方法1) 83度になったら火を止める(83度法)
醤油の風味と辛さが若干残った、キレのよい返し/つゆができます。実はこの方法で作ると、できた返しは生返しを十分に寝かしたものにかなり近いことがわかっています。せんべい好きのかたは、ぜひお試しください。
なお83度のかえしは、主に本枯れ節に向きます。雑節や混合節では節のクセと醤油のクセがけんかする場合があると思いますので方法2)のほうをお勧めします (絶対だめというわけではないですが、無難だということです)。
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・方法2) 95度になったら火を止める(95度法)
90度まで中火で加熱し、そのあと弱火で95度まで上げます。95度になったら火を止めて、1分後に再度着火。弱火で加熱してもう一度95度になったら加熱を終了します。
温度計がない場合は、返しの表面に噴流ができて、液面に小さな凸部が見えたら終了してください (95度以上にすると不味くなるので、できる限り温度計を使ってください)。
こちらはいかにも本返しらしい、辛みのすくない (甘い) 、その代わり醤油の風味が後退した返し/つゆができます。節はなんでも向きます。女性の方にはどちらかというとこちらをお勧めします。
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(返しのアクについて)
醤油に糖分が入ると黄金色の膜が広がります。アクなので除去しなさいとしている書籍もありますが、この膜は単なる泡 (気泡) のようです。したがって取り除く必要はないようです。
以前、このページの記載ではこのアクを除去していましたが、除去の必要なしに訂正させていただきます。
鍋蓋をして蒸発しないようにして放置し、さめたらかえしの出来上がりです。なるべく大きなPETボトル、びん、カメなどに移して寝かします。
寝かしの詳細は、5番の寝かしと保存についてをご覧ください。
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