寝かしと保存について
更新 040703
初稿 011221
1.かえしの寝かし
かえしもつゆも、基本的に寝かした方が美味しくなります。じっくりと化学変化が起こり、醤油のカドがとれて、まろやかな味になるからです。
かえしは醤油が糖分といっしょに加熱されることであらかたカドがとれますが、生がえしともなると加熱せず、醤油と砂糖を混ぜて放置するだけという作り方。寝かしがすべてを握っているほどです。
生がえしは別格として、本がえし (加熱する普通のかえし) も、どんなにいそがしくても作ってから最低3日は待ちましょう。本当においしくなるのは一週間程度を経過してからです。そばを打つ、と決めたら、最初にするのはかえし作りです。なぜならかえしは寝かした方が美味しいからです。
2.寝かしには空気との接触が必要
という話を某WEBで拝見し、試してみたらなるほどそのとおりで、なんでも本職は土に埋めたカメを使うのだとか。しかしカメでの保存はなにかと気をつかいます。
そこで考えた方法が、大きなPETボトルに少量のかえしをいれて寝かす方法です。
使うPETボトルは、4リットルの焼酎の空きボトル。画像は、これに醤油500ccをかえしにしたもの(仕上がり650cc程度)を入れた様子です。
このPETボトルは直径が大きいのでかえしと空気の触れる面積が大きく、空気もたっぷりありますので、PETボトルのフタをしても寝かしが進みます。フタをとって不織布でほこりよけをすれば空気が入れ代わりますので、より完璧ですね。倒すとコトですから、一般的には蓋をすることをお勧めしますが、私は床下収納庫で寝かすので、蓋は不織布です。
ちなみにカメ保存とPETボトル保存を試してみましたが、基本的に大差なく、むしろPETボトルのほうがおいしくなりました。比較したカメの直径が小さいためだと思います。また長期間保存すると(特に生返し)カメ保存はかえしが傷んできます。さすがに雑菌の進入に無防備なんでしょう。
寝かしの期間ですが、かえしはかなり長期間寝かしても腐りませんが、一カ月以上寝かしてすごくおいしくなるというわけでもありません。
まず本返しでは、丸1カ月まではおいしくなりますが、それ以後は劣化とエージングが拮抗します。1カ月程度で使い切るか、それ以後は小さなPETボトルに移して密栓します。
生がえしは3カ月過ぎからおいしいようですが、酸化過程は最初の1カ月で十分なようなので、それ以後は密栓でいいでしょう。ペットボトルの容積に対してかえしが少ない時は、最初から密栓でもいいと思います。
2.つゆの寝かし
次に「つゆ」ですが、これも作りたてより2〜3日経過したほうが、つまり寝かしたほうがおいしくなります。
ただし、塩分濃度が低いうえ栄養分も豊富なので、かえしよりはるかにいたみやすいので、保存には十分に気をつけて、基本的に冷蔵してください。
なお、厚削り節を使う場合、だしが少量ではとりにくいため、つゆは多くできてしまうのが普通です。
そこで、つゆを作った最初の一晩は全量を常温で放置し、そのまま一度湯煎し、もう一晩放置しておいしくなったところで使う分は冷蔵し、多い分は冷凍してしまうのも手です。冷凍したものは一カ月以上保存可能です。
ただ、冷凍すると醤油のカドがとれすぎてバランスが崩れてしまいます。それを前提にバランスを取り直す場合は別として、基本的に冷凍は味が落ちるとしておきます。
結局保存性と扱いがいいのは、密栓できるガラスボトルを使う方法で、これなら冷蔵のまま結構長期の保存と寝かしが可能です。
目次をフレーム表示する(目次がないときクリックしてください)