グロメットの交換

初稿 111025


スカッシュ仲間からテクニファイバー、カーボフレックス130で、珍しいグロメット交換作業の依頼が入りましたのでご紹介します。



テクニファイバーはスカッシュ界では知らない人はいないだろうという緑のガットで有名なメーカーです。



このラケット、使いすぎてプロテクターが壊れています。テニスでは地面をこすらないと減りませんから、上級者はまず壊しません。でもスカッシュはラケットが壁に当たるスポーツなので、かなり上手な人でも次第に減ってしまいます。

この部品はテニスでは普通グロメットと言って、穴を保護する「ハトメ」を意味する名前がついています。しかしスカッシュでは、プロテクターとかダンパーと呼ぶのが普通です。ラケットを保護する意味の名前がつかわれているわけです。今回はこれを交換します。



まず壊れたプロテクターを外します。上に写っているのが交換用の新品。正規代理店のあるメーカのラケットなら、代理店から入手できると思います。これが入手できないとラケットが使えなくなります。



うひょー。



新品の装着です。まず新しいグロメットのトップの数穴を装着します。このトップの数穴は、ラケット内側の穴まで完全に通します。

あとは外穴に入るだけ入れます。それより外側は最初は入りません。入らないのを無理に押し込むと、グロメットの先端がフレームの内側に当たってつぶれますので、数穴にしておきます。



次に、キリを使ってグロメットの先端を内側から呼びながら、ひと穴ずつ順番に丁寧に先端を出して行きます。くれぐれも飛ばしてはいけません。飛ばすと飛ばされたグロメットがつぶれて使えなくなります。この作業は左右交互に数穴ずつ進めます。

グロメットが穴に通って行くと、先程まで外穴に入らなかった両端よりのグロメットが、フレームの外側の穴に入るようになります。そうなったら入るだけ入れて、また同じように進めます。



ちなみに、使っているキリはストリングマシンに付属していたもので、先端が丸めてあるものです。普通のとがったキリを使うと、グロメットが割れますのでそのまま使ってはいけません。普通のキリはヤスリで先端を落として、最低φ0.5程度まで丸めてください。




全部通ったら、飛ばされたグロメットがないかよーく確認します。ひと穴でも通っていなかったら、全部外してトップからやりなおします。

飛ばされた穴のあるグロメットは、外すと穴に通っていなかったグロメットがつぶれている事が多いので、ペンチで形を修正します (修正しないとたぶん入りません)。二回目はその穴は難所になると思いますが、どうしても入らない場合は、その難所からスタートします。



出来上がり。

新品のグロメットを付けたときは、最初にガットを引くとき慎重にやります。なぜならグロメットが中途半端に外に出ると打感がとても悪くなるからです。また一度クセを付けてしまうと、二回目も同じになりやすいので初回がとても大事です。

------
この作業はテニスのラケットでも全く同じです。ただしスカッシュはプロテクターになっているトップグロメットだけ壊れるのが普通で、サイドグロメットはあまり痛みません。なぜならテンションが低いのでガットがグロメットをつぶすことがまずないからです。ラケットの生涯で、一回あるかないかでしょう。

テニスは接触で壊れることはまずなくて、ガットを張り替えることで消耗します。ガットが硬いし、テンションも高いからです。なので三個のグロメットは同時に交換することになるのが普通です。

特に硬いポリガットを常用すると、早く消耗します。テンションでつぶれるというより、硬いガットを通して引くときに、摩擦で減る感じです。なので摩擦が起こらないように丁寧に通せば、グロメットの寿命が延びます。

遊びを手で引いて,ラケットの方向も定めてから機械でテンションをかることも大切です。緩んだ状態から機械で引き、ラケットが振れるような張り方は、当然グロメットが痛みます。

そうそう。かないまるのテニスの厚ラケが使えなくなったのは、ウィルソン・プロファイルのときもアドフォースT1のときも、グロメットがだめになり (肩が消耗して割れるんです) 交換用が入手できなかったからです。ラケット自体は問題ないのでもったいない話。アドフォースT1はトップの4穴が柔らかいグロメットになっているところがちぎれました。代替えのグロメットを差して一応使えるようにはしてありますが、本来の打感ではありません。消耗品は長く販売してほしいものだと思います。

グロメットの交換(続き)
ワザ編の目次を出す

目次を表示する

かないまるに戻る