かないまる愛用のストリングマシン


初稿 111022
更新 111113
(2013年から、4台目「張名人ディアナSP Ver.2」に買い換えましたので、後日ご紹介します)


ここではかないまるが使ったガット張りマシンをご紹介します。使ったマシンはこれまでで三台です。最初が2点サポートの簡単な分銅式。次がごく普通の6点サポートの分銅式。そして電動を中古で買いました。

現在のマシンはこんなものです。



このマシン。実は間の子で、スピンジャパン社の「張名人 NEON-CX21」という電動マシンの本体に、イグナス社の「Smart707」という分銅式マシンから取り外した架台を取り付けた、世界に一台しかないマシンです。

ではここに至る過程をご紹介しましょう。

まず5年前にスカッシュをはじめたとき購入したのが、これです。



イグナス製のホーク26というものです。2点ホールド式と呼ばれるもので、オークションで2万円程度で05年に落札しました。

スカッシュラケットを張るには問題ないマシンで2年くらい愛用しました。そのうちに息子が高校のテニス部に入り、やたらとガットを切るようになり「テニスラケットを張れないか」と言い出しました。張り代がかかりすぎるとカミさんに文句をいわれたようです。

でも二点式のままではテニスラケットを張るのは無理です。とくに息子はバボラのラケットにプロハリを53ボンドで張れといいますが、サイドサポートがないとこんなテンションは張れません。



そこで、4ミリのアルミ板をジグソーでカットして、固定式のサイドサポートを作ってみました。画像はスカッシュラケットをホールドしてありますが、テニスラケットでも使えました。でもセッティングがいささか面倒。



そこで同じイグナス製の Smart707 という、6点支持の張り機を購入しました。これはオークションではなくて新品を買いました。架台は大型のサイドアームを持っていて、テニスラケットをしっかりホールドできました。



欠点といえばサイドアームがあまり狭くできないことです。画像のようにスカッシュラケットは手前が細い「水滴型」が多いのですが、サイドサポートアームの間隔がギリギリになります。図のラケットは一応しまっていますが、グリップ側がもう少し細いブラックナイトのラケットは、このままではホールドできません (この弱点は自作の水滴型ラケット用アダプタで解決しました)。


というわけで、導入当初はほかにもいろいろありました。でもクレームするところがなくなり落ち着いてみると、なかなかいいマシンでした。

ここで分銅式を総括します。分銅式は重力で重りを下げて、分銅につながるロッドでドラムを回し、その回転力で張る仕組みです。ロッドがおりてもテンションが足らないときは、ドラムを手で固定して少し分銅を持ち上げて、もう一度下ろせばテンションが上がります。分銅を手で押し下げれば引っ掛かりがあるかないかすぐにわるなど、職人ワザ的な小細工ができる、という良さがあります。

一方で、気を抜くと、ガット一本一本のテンションが変わってしまいます。実は分銅を下げてロッドが丁度水平になったときにテンションと分銅が釣り合う必要があります。これを全部のストリングで安定に行う必要があります。

そうするには、

もこれにかかわります。メイン、クロス全部で40本近いものを毎回機械的におなじように引けないとまともな打感になりません。つまりガット張り中は全く気が抜けないのが分銅式です。

実は頼まれて張る数が増えて来ると、これがなかなかしんどい。そこで2010年初頭くらいから電動を探していましたが、なかなか安価なものが見つかりませんでした。

そうしたなか、2011年の1月に渋谷でガット張りの講習会を受けました。このとき使ったのがバボラのマシン。これもイグナスの工場の臭いを感じましたが、ものすごくデキのいいマシンで、一気に電動がほしくなりました。

そして4月。オークションに電動が出品されているのを発見。記載を読むと信用できそうなので落札しました。



これが購入した電動マシンです。使いやすいと評価の高い「張名人」です。型番はNEON-CX21。スピンジャパン社の商品です。出品者が購入したのは2000年4月なので11年ものです。当初の価格は20万円くらい。これを約8万円で落札しました。

灰色の回転ドラムでガットを引き、ドラムの上のテンション検出バーでそれにストップをかけるという単純な構造です。プロ用では直進式が普通ですが、回転式は構造が簡単なので安価で、アマチュア用、クラブ用の主流です。古いものですが、内部にはマイコンが入っています。

でも入手して使ってみてすぐにわかったのは、簡単な方式でも十分使えるということです。また回転式は設置スペースが少なくてよいというのも利点です。欠点はポリガットで巻き癖がついて扱いにくいことくらいです。




ただ、入手してほどなく架台 (ターンテーブル) を、Smart707のものに換装しました。

え、換装?。そんなこと出来るのかって?。

出来るんです。このマシンはイグナスのSmart707と同じ工場で作られていて、架台の基本寸法が全く同じなのです。つまり架台の回転軸の直径。架台を止める4本のボルトの位置。クランプの高さなどの性能に関わる寸法関係が全く同じでした。

現在の張名人がどこで作られているかは全く知りませんし、そもそもイグナスと張名人は、どちらがオリジナルなのかもわかりませんが、11年前に製造されたこのマシンは、到着してすぐにSmart707と同じ工場で作られたことが歴然とわかりました。見た目でもはっきりわかりますが、少し点検したら、同じ製造会社名シールと品質検査シールが見つかりました。



換装の理由は、慣れている架台を使い続けたかったということにつきます。ネジの締め方でラケットがどう変形し、またフレームがどのくらいたわむとテンションがどのくらいずれるかみたいなことが感覚的に分かっています。特に柔らかいラケットはクランプ位置をちょっとかえただけでバランスが全然違ってしまいます。かないまるの張りをご愛顧いただいている(^_^;)スカッシュ仲間には、同じ張りあがりを提供したいと思いました。

自作のアダプタ類の問題もあります。マシンそのままではチャッキングできないラケットというのが結構あるんです。サイドサポートでウッドを止めると、ウッドラケットにはキズが付きます。そういうところを丹念に自作のアダプタで対応しています。Smart707のサイドアームはKクランプですが、張名人はCクランプで、アダプタが全部作り直しになってしまいます。:これはとても大変です。

というわけでこの慣れた架台を、電動化で手放したくなかったので、換装したというわけです。


はずした架台の行方ですが、元の分銅式のベースに乗せました。



こうなりました。

張名人の架台は、実は架台としては良くできています。クランプも、KよりはCのほうが中心が出やすいし、ガットも通しやすいんです。全体としてこの換装品は、スピンジャパンの「45SP」に近似したマシンになりました。

この合体マシンは「これからガット張りを覚える」という方のところに転居しました。いまも活躍していると思います。

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