T2000:張りの実際
初稿 111105
その6) 二本目を張ります
二本目 (クロス) をスタートします。
二本目のストリングをクロスに通し、中央付近でクランプします。右手にあるのはタイに必要な長さで、20〜30センチ。ここを一本目の最後と全く同じようにタイします。
クロス二本目 (C5)をプリレーシングし、クロス一本目 (C4) を引きます。ここからのクロスはメインに対して必ず下から交差で始まります。また毎回プリレーシングを行います。
クロスを引くと全てのメインがクロスに引きずられて右に動き、そのまま引っかかります。これをオウルで軽く叩いてストレスを抜きます。
- オウルは斜めに持ち、上から叩くようにします。斜めに持っているのでストリングは横に動きます。
- スカッシュラケットの場合はメインを指で撫でてハープのようにビローンと弾けば引けばOKです。
この作業はとても大事で、やるとやらないとでは打感がまるで違います。ショップで張るのを見学していると叩いていないか、全部叩かないで半分くらい叩いて止めてしまうことがあるようですが、必ず全部のメインを叩きます。
この作業はテニススクールに全英オープンで張っているという人が張りのデモに来たときに丁寧にやっていたのが印象的です。まねしてみたら打感がとてもいいので感心しました。
終盤です。最後から4本目 (C12) 〜2本目 (C14) を引くときは、プリレーシングは半分程度にします。
また、ここまでずっと同じだったテンションを、C13で1ポンド下げます。C14はさらにもう1ポンドさげます。
このテンション下げを「フレームがゆがむのを防止」とする記載がありますが、かないまるはそうではなくてクロスの蛇行が均一になることをめざしています。
フレームのゆがみが最後の数本で変わるのが本当に見えるのか。かないまるにはわかりません。クロスの蛇行は見ればわかります。ただし均一にするのはとても難しいです。
また最後のクロスは、一転してテンションを上げます。これはタイオフで緩む分を見込むものです。
これも「10%アップ」という記載をよくみますが、目的からいって「何パーセントアップ」という決め方は疑問です。たとえば柔らかいストリングはテンションでいえば少なめが正しいはずです。
かないまるは分銅式の時代はマジックでストリングにマーキングをして、長さで決めていました。通常テンションで止めてから「さらに5ミリのびばす」という感じで分銅を押し込んでクランプ。タイオフ後はずして遊びがピッタリ戻るのを正しいとしていました。たとえばスカッシュではフィッシャーマンスノットを使っていますが、このノットは遊びがないと綺麗にできないので、約7ミリ余分に引いてゆっくりノットを作っています。
電動にしてからは一旦規定テンションで引いて、そのあとテンションダイヤルをアップして、「カクン、カクン」と二回テンションをあげています。マイコン式で同じことができるかどうか知りませんが、これでだいたい5〜6ミリ延びます。分銅式と違い、延ばす量を細かくは調整できませんが、今は逆に機械に合わせてノットを作っています。
タイオフしました。ロープの世界のエイトノットです。
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