かないまるの
カルス培養土園芸

09) カルス培養土の土壌設計
かないまるの場合


開始 211221

第一ロットで草の分解後の体積がわかったので、これを踏まえて土壌設計を書きます。
    これは調整資材を投入するかないまるの培養土のレシピですが、よりシンプルにするには次項をご覧ください。
    カルス培養土を中心に書きますが、覚えのためにかないまるの従来型培養土も記載します。

    土づくり中に「重さ」を測るのは面倒なので、結果はすべて容積に換算しています。




1)土壌構成
  1. 用土。古土を篩ったものを使います。
  2. 燻炭。土壌菌環境改善のために入れます。
  3. バーミキュライト。保水性改善のために入れます。
  4. 赤玉土中粒。粒が大きいので土を混合したときの分散度の目印になります。保水性もあります。培養土がかっこよくみえます。

    1〜4の配合の第一ロットにおける配合は下記のとおりです。

    用土構成表(単位:リットル)
    1
    用土(古土を篩ったもの)
    30.0
    3
    燻炭
    1.5
    2
    バーミキュライト
    5.0
    4
    赤玉土中粒
    7.0

    合計容積
    43.5



    調整資材はバーミキュライト、燻炭、赤玉土中粒で、用土30リットルあたり10.5リットル
    上記は従来型の培養土で近年使ってきた構成ですが、カルス培養土でも同じにしました。
    燻炭やバーミキュライトは堆肥と比べるとあまりカサ減りしませんでした。


2)堆肥
    2-1)カルス培養土は、土と同量の有機物(草)を使う場合は、基本的には堆肥を必用としません
      有機物が少ないときは、その分を草量の1/3程度の腐葉土、または生ゴミ堆肥で代替可能です。完熟の腐葉土、堆肥の場合は、カルス培養土完成後、苗植え前に混ぜるのがよいと思います。
      • 発酵前に混ぜると、堆肥もカルスが同時に分解してしまうので、折角長いカルス培養土の活性期間が短くなります (腐植は増えますが)。

    2-2)従来型培養土を作るときは、
      5.腐葉土。用土と同量入れる (土15リットルなら腐葉土15リットル)
         植物性堆肥で、堆肥の基本資材。
      6.EM牛糞堆肥。用土の1/3の容積を入れる(土15リットルなら5リットル)
         動物性堆肥で、対応植物の多用性アップ
      を追加します。

      この場合、1〜6を混合すると、施肥前の培養土になりますが、合計体積は25%カサ減りして75%くらいになります。たとえば土が15リットルのとき、1〜6の計算上の合計は41.6リットルですが、混ぜると32リットルくらいになります(互いにスキマが埋まるからです)。

      従来培養土では、肥料はカサ減りした完成混合土の容積に対する比率で考えます。苦土石灰は元の用土に対する比率で考えます(後述)。

      第一ロットの一部と、第二、第三ロットの全部は、従来培養土と等量混合して使いました。
      これは従来培養土が製作済みで在庫が有ったからですが、これでも元気に植物が成育しています。
      これは有機物量の確保が難しいときは、腐葉土や生ゴミ堆肥で補うことができることを示しています。


3)
石灰資材類。
    日本の雨は酸性雨なので土壌を酸性から弱アルカリ性にもどすために苦土石灰を施します。目安は従来培養土では
    • 培養土10リットルあたり苦土石灰が30〜60グラム必用
    とされているようです。

      かないまるの場合は計測液でチェックしながら使っていますが、従来培養土ではだいたい
      • 用土30リットルに苦土石灰300グラム
      でいいかんじでした。
      これは培養土換算で10リットルあたり50グラムくらいなので上記「目安」と合っています。
      これでpHが0.3程度アルカリに傾くようです(試験紙での結果)。

    カルス培養土の場合は、有機物はカルスNC-Rが分解してしまい1/4〜1/6になってしまうので用土から培養土への過程でカサがあまり増えません (仕上がり培養土が少ない)。ですので従来言われている目安だとアルカリ過多になります。

    このへんを考慮したのが次の表です。この表はかないまる用で「苦土石灰+ハイパワー苦土石灰」を半々で書いてあります。苦土石灰の比重は1なので、1グラムは1ccです。

    従来培養土への苦土石灰投入量
    元の用土に入れる場合
    完成培養土に入れる場合
    対象の体積(リットル)
    30
    64
    10
    苦土石灰投入量(cc)
    150
    150
    24
    ハイパワー苦土石灰投入量(cc)
    150
    150
    24
    カルス培養土への苦土石灰投入量
    元の用土に入れる場合
    発酵後の土量
    調整資材投入後土量
    対象の体積(リットル)
    30
    3950
    苦土石灰投入量(cc)
    150
    150
    150

    ハイパワー苦土石灰投入量(cc)
    150
    150
    150


      注意点)
      • 花期の短い花
      • すぐ枯れてしまった
      などで使用期間が短い土は酸性化しません。逆に
      • 梅雨時や秋の長雨のあと
      は、かなり酸性度が上がることがあります。

      かないまるは、酸性度はつねに測定しています。
      測定器は安いものなので、石灰投入前後に酸度を測る習慣を付けることをお勧めします。

4)
肥料
    一方肥料は、完成培養土の容積に対して考えます。植物は鉢全体に根を張るからです。

    かないまるは従来培養土では、2-2)項の枠内に記したようように、用土15リットルから完成培養土が32リットルができます。
    これに対して下記の肥料を使っています。
    1. 有機化成肥料 (サンアンドホーム) 190cc 窒素含有量は5%
    2. 発酵鶏糞 (都路ファーム) 190cc 窒素含有量は2.3%

      窒素量の計算。
      有機化成肥料の比重は 0.71(g/cc)なので、窒素は190*0.71*0.05=6.75グラム
      鶏糞堆肥の比重は0.76(g/cc)なので、窒素は190*0.76*0.23=3.32グラム
      窒素合計は10.1グラム
        32リットルでは窒素量は8〜12.8グラムなので、窒素合計10.1グラム。

      有機化成肥料(サンアンドホーム)の袋にはプランター栽培では10リットルあたり50〜80グラムと記載されていますが、
        窒素10.1グラム/培養土32リットル=窒素3.15グラム/培養土10リットル
      有機化成肥料(サンアンドホーム)の窒素量は5%なので、窒素3.15グラムは肥料63グラム相当なので妥当。

    従来培養土とカルス培養土の場合で、元の用土あたりと完成培養土あたりの施肥量は下記となります。
    下表はグラムからccに換算されています。
    従来培養土への肥料投入量
    元の用土に入れる場合
    完成培養土に入れる場合
    対象の体積
    30リットル
    64リットル (用土からの実績値)
    10リットル
    有機化成肥料
    380cc380cc59.4cc
    鶏糞
    380cc380cc59.4cc
    カルス培養土への肥料投入量
    元の用土に入れる場合
    調整資材投入後換算
    対象の体積
    30リットル50リットル (用土からの実績値)
    有機化成肥料
    297cc
    59.4 * 50/10=297cc 
    (10リットルあたり59.4ccから計算)

    鶏糞
    297cc
    59.4 * 50/10=297cc
    (10リットルあたり59.4ccから計算)


    第一第二第三ロットのカルス培養土では青字を使いました。
    以後のロットで用土に施肥するときは、赤字欄を使用する

5)カルスNC-R
    200グラム (240cc)

6)米糠
    600グラム (2リットル)

      有機物が枯れ草の場合は発酵に要する窒素分が少ないので
        米糠を増量 (〜2倍程度まで)または、
        油粕を600グラム、または
        硫安を50〜80グラム
      を添加します。


7)有機物
    草(有機物)はカットして軽く圧した状態で30リットルです。
    つまり土と同量を基本とします。


    以上です。




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