生がえしの検討(1)

計画




改訂 030228
初稿 030209


1.緒言

2003年11月末にパソコン通信仲間が集まって蕎麦会をやりました (日記ページ021123参照) 。そのときに、通信仲間が「生がえし」を作ってくれました。この時は美味しいことは美味しいと思いましたが、仕込んでから一カ月強だったせいか、まだこの先があるなという感じで、全部つゆにしないで100ccほど冷蔵庫に残しておきました。

最近これをつゆにしてみました。ご本人はすでにこのかえしはすべて使ってしまったということですが、手元に残っていたのはすごくおいしい。研究心をかなり揺さぶられました。さっそく検討開始。

しかし、なにしろ生がえしは歳月が必要。仕込んでからテイスティングまで3カ月以上を要します (今回の友人のかえしは、すでに3カ月半が経過していました)。

そこでいろいろな仕様のかえしを仕込んでおき、三カ月後に比較してみることにします。

[甘味の方針]

当然基準となるのはいままでの本がえしと、友人のかえしです。友人のかえしは混合比的にはかなり砂糖が少なめでした。これは私の返しと思いっきり変えてみるのが主眼だったとのことで、砂糖が2割ほど抑えてありました。すっきりしていることはたしかですが、さすがに甘さ控えすぎの印象。そこで普段の本返しから、砂糖を1割ほど減らすことにしました。

現在の私の混合比は、

  醤油:ザラメ:みりん=500cc:106g:116g

ですが、これを、

  醤油:ザラメ:みりん=500cc:96g:116g

とします。

[素材の方針]

まずは普段の素材で、本膳、ザラメ、昔仕込みはそのまましこみます。

一方友人の使った素材は「はつかり」醤油、和三盆、家醸本みりんです。今回はこの素材達を全部採用しスクランブルしてみます。これで三河みりんを加えれば、有名どころは制覇しますが、まあこれは次回にします。

醤油はさらに、そばつゆでなんと一度も使ったことがないキッコーマン特選丸大豆醤油。さらにそば膳を加えることにしました。

和三盆のメーカは、以前使ったことがある岡田製糖所の製品を使いました。かなりマイルドで美味しい砂糖で、なめてみると最高級の和菓子が使っていることにすぐに気づきます。

このほかカップ印の製品で「きび砂糖」というのを加えることにしました。私はこの砂糖は三温糖に近いのだと思っていましたが、成分的にはむしろ和三盆に近いようです。和三盆は500グラムで1300円もするものですが、きび砂糖は500グラムあたり200円程度ですから、これはためす価値があります。

[試作マトリクス]

以上の素材で、下記のマトリクスでかえしを試作します。長期保存しないと結果がでないので、今回は材料仕様についてはフルマトリクスになっています。


本膳はつかりそば膳丸大豆ザラメ和三盆きび砂糖昔仕込み家醸
A119g


19g

23g
砂糖10%ダウン
(今回の標準仕様)
B
119g

19g

23g
醤油を変更
C119g



19g
23g
砂糖を変更
D119g


19g


23gみりんを変更
E
119g


19g
23g
醤油と砂糖を変更
F119g



19g

23g砂糖とみりんを変更
G
119g

19g


23g醤油とみりんを変更
H
119g


19g

23g全部変更
J119g




19g23g
砂糖を変更
K

119g
19g

23g
醤油を変更
L


119g19g

23g
醤油を変更
M

119g

19g

23g全部変更
N
119g



19g
23g全部変更

A〜Hが基本のフルマトリクス。Aは私の本がえしの素材。Hは友人のかえしの素材です。表中、みりんと砂糖の組み合わせが同じものに同じ色をつけてあります。

J以下は追加サンプルで、J、K、LはベースAから一カ所だけ変えたもの。Mは友人のかえしHのはつかりをそば膳にかえたもの。NはHの和三盆をきび砂糖にかえたものです。

醤油の量は100ccでつくることにしました。三カ月の保存に500ccのPETボトルを使い、時期が来たらだしと混ぜてまた元の容器に全部戻せる量です。かえしを余らせても全部混ぜることになるし、混ぜたかえしが美味しいと一大事ですからね(^_^;)

なお、実際の混合は精度をあげるため、容積100ccではなくて、重量119グラムを採用しています。全重量は119+19+23で162グラム。約130ccになりますので、つゆが約500ccとなります。

[試作方法]

これは、(2)仕込み編に詳しく書きました。

[パイロットかえし]
以上はテイスティング用の素材群で三カ月間手をつけませんが、この間のかえしの調子の変わり方を調べるため、Hの仕様をしょうゆ1リットルで仕込むことにします。「砂糖+みりん」が冷えてから醤油を混合し、PETボトルに保存。HNとマーキングすることにします。採用する混合率は「醤油:砂糖:みりん=1000cc:190g:230g」です。

[比較用本がえし]
三カ月間、本返しだけで味の変化をトレースする自信がないので、Hの仕様で本返しも仕込むことにします。本返しの味も三カ月で変化しますが、この変化の仕方はわかっているつもりなので、生がえしの味の変わり方のリファレンスに使えると思います。醤油1リットルで仕込み、混合率はパイロットと同じです。PETボトル保存し、HHとマーキングしておきます。



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