ストリンギングの記録
スカッシュラケット編


プリンスO3系の張り方
その1
初稿120527
更新130519



スクール仲間から、プリンスO3 グラファイトのスカッシュラケットの張り替えの御依頼をいただきました。



ラケット名は「プリンスO3 HYBRID SPEEDPORT BLUE」。というものです。定価 25,200円ですからなかなかの上級モデルですね。トップに特長ある4個の大きな穴があり、プリンスのラケットであることがすぐ分かります。

スクール仲間が最近「なにかいいラケットないですか」というのですが、使っているラケットは一流品。そこでよく見せていただいたらストリングがサービスストリングのままで、これが使えないほど緩めでした。ブラックナイトなどはかなりいいストリングを張るので、そのまま切れるまで使っても問題ないほどですが、このプリンスはちょっとひどいので、張り替えてさしあげることにしました。

プリンスのスカッシュラケットは、08年ごろから張った記録があり、これまでに、

  1. O3 VENDATA HYBRID
  2. O3 HYBRID SPEEDPORT LIGHT PRO
  3. O3 HYBRID SPEEDPORT BLACK

の三種類を張っています。記録していないものを入れると、総計で10回程度張っているでしょう。1と3は今回のSPEEDPORT BLUEと同じホール。SPEEDPORT LIGHT PROはサイドにもエアホールがあるものですが、ストリングパターンは基本的に同じです。


張りパターン



サービスガットは二本張りしてありましたが、かないまるは一本張りにします。理由はストリング長が厳しいからです。このラケットはメインが長いので、二本張にすると長さがギリギリか下手をすると足らなくなってしまいます。怖い怖い。

一本張する場合は、ロングサイドのメインの最後をR6-R8-R7番の順に張ります。素直に張ってR8番を最後にするとクロス1番までが遠すぎるからです。


クロス・ポイント・グロメット・ホール

このラケットの特長は、大きな風穴ですが、ほかにも特長があります。メインとクロスが同じところで始まるところが4箇所ありますが、ここがダブルホールになっていることです。。



一見穴を共用しているようですが、そうではなくて緑の矢印のように、ちゃんとグロメットにメイン用とクロス用の二個の穴が並んで空いています。

どちらの穴をメインに使うかは決まっています。穴をよくみると向き(メイン用)か横向き(クロス用)かがわかります (内側から見るとよりわかりやすい)。

このラケットはパワーリング(後述)を通った上下にずれているメインストリングを一番下のクロスでつぶすように張る必要があり、メインとクロスの上下関係は完全に決まっています。ここで、このダブルホールの方向をきちんと使うと、上の穴から出たストリングは次のストリングの下を通り、下の穴から出たストリングは次のストリングの上を通って交差します。

これによりストリングがグロメットを支点に綺麗に振動するためパワーロスが少なくなります。したがって間違うと打感が悪くなります。に空いています(内側から見るとわかりやすいです)。




ダブルホールを外から見るとこんな感じ。



もう一つの特長が、このグリップ側にある棒。パワーリングといいます。ストリングをラケットの大きさの割に長く張るための工夫だそうですが、グリップ側でストリングを引っ張れないのでストリンギング泣かせです。

かないまるは、トップ側を起点としてパワーリングで一往復させてトップ側でテンションをかけ、ストリングを弾いて音を聴きながら往復両方のメインのテンションを揃えながら張っています。


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