ウッドを実際に張る
その4) クロス後半
初稿 111203
クロスの続きです。
クロス2番は、次の3番クロスを近寄せてプリレーシング状態にして引きます。引いたらオウルでメインをたたき、クロスに引かれたクセを取ります。以後3番を引くときに4番をプリレーシング、引いたらクロスを叩くということを丹念に進めます。
ウッドのクロスは中央を少しすぎるまでは開始したテンションで引き、それを過ぎたあとでテンションを下げます (下げすぎると飛ばないし、下げなくても飛ばないので、何度も張って調子を覚えるしかないんですが)。ただしクロス終了までに下げるのは2ポンドくらいまでです。もっと下げないといけないようだと、それはクロスのスタートテンションが高いのだと思います。
下げるのは最終の数本ですが、今回はフレームがかなり騒ぐのでかなりマメに下げることになりました。
最後の19番と20番は逆順にはりますが、二つの注意点があります。
一つはフレームの外側でストリングを交差させないことです。上の図の黄色い矢印のようにならないようにします。
もう一つはテンションです。19番は20番を通すときにかなり締まりますので、さらに2ポンドさげます。最後の19番はタイオフノットなので、一転して10ポンドテンションを上げて引きます。
この程度メリハリをつけても、実際には山はなかなか揃いません。今回は強いはずの19番にかなりテンションロスが出ました。
これはタイオフ時の画像ですが、画像の奥から20、19、18番クロスです。19番にかなり起伏が立っています。19番にテンションがないのです。一方20番は全然起伏がありません。一般に一番端の20番はこうなるものですが、それにしても強すぎるように見えます。
この画像はタイオフ後に20番を引いて起伏を呼んでいるところです。19番の起伏が大きいので、19番につながっている側をググっと引きます。すると19番の山が低くなり、20番の山が高くなります。18番も高いのでこちらも少し引き、18、19、20番の起伏を揃えたら完了です。
なお、この起伏の乱れができるのはハイパワーパターンの最後のところで摩擦がとても大きいからですが、この摩擦が実際に使うときの打感を生むのが痛し痒しです。メインの両側とクロスのグリップ側の三辺をがっちり固めたパワフルなパターンのウッドを是非お試しください。
架台から外す前に保護アダプタの締まり具合を確認します。このアダプタは、張り始める前は限りなくズレズレ。メインを張った後はがっちり食いついていましたが、クロスを張った後ばっちり元の強さに戻っていました。
実はストリングの前半でトップ側のサイドサポートが緩む現象が観測されました。テンションダウンをマメにやったのはこれに対応したものですが、トップ側のサイドサポートが緩むというのは現代のラケットではまず見ませんので、やはりウッドは特殊な世界だと思います。
今回は寸法は計りませんでしたがっていませんが、4個のアダプタがほぼ元の強さの感触に戻りましたので、変形量はトップエンドからシャフトエンドまでを通じて1ミリ以下でしょう。ちなみにビリヤードの強さもほぼ元通り (わずかに元より強い程度) でした。
ただし、外形が元にもどったら合格というわけではありません。面を中心ライン上で上から下まで押してみて、面の凹み (面厚) がラケットの上下両端をのぞき、だいたいどこでも同じになっていることが一番重要なのです。途中でテンションを下げてフレームの変形だけ防いでも、面厚が偏っているようでは飛びません。
一般にフレーム強度に合わせたクロスのテンションの選び方が重要ですが、それにしてもこのフレームは弱かった…。
張り上がりました。今度の週末に使うのが楽しみです。
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