100均商品で作る
200円でカムアクションプライヤーを自作
〜自作編〜
2)高度なタイプ
初稿 111122
続いて、より高度な工夫を加えたものを二つご紹介します。
まずカムの形状を詳細に解説します。いろいろと作ってみて、下記の形状が使いやすいと思いました。
まず丸棒の溝は深めに掘って、ペンチの面が上端から2〜3ミリになるようにします (つまり丸棒の上端は3ミリ削り、ペンチの面がその面からやや上に出るくらいにします (まあ、ほぼ同一面です)。
ここで丸棒に対してペンチを左右方向でどの位置に埋め込むかですが、ペンチの先端を丸棒の外形の左端から12ミリ程度が適当です。3ミリ落とした面とペンチの面がだいたい同一面になりますので、そのままストリングを向かえるスロープが作れます。
実はこの位置関係だけで、このあと述べるカム形状の加工をしなくても十分使えます。カム形状を削り込むのは、ぐっと力が入るようにするためです。
加工しないで丸棒のまま使う場合は、φ30〜φ33の丸棒として、先端距離は12ミリではなくて10ミリ程度が丁度よいです。
この画像がカム形状の要点です。
まずA部をほぼ平面に削ります。Aの面はペンチの面Bに対して直交です。削る深さはφ36の丸棒左端から6〜8ミリです。
A面の上部 (A部とB部の交点) は適当に丸めて、A面とペンチの面を滑らかにつなぎます。円弧としての半径では、5〜8ミリ程度になります。
青い部分 (R15の外形) はとても重要です。ここがストリングを引っ張るためのテコの支点になるからです。「カム・アクション・プライヤー」という名称は、テコの支点であるこの部分が、ペンチの柄を下げることでカムのように移動することに由来すると思われます。
続いてペンチの金属加工です。ハンドグラインダーを使います。
画像上は加工していないものです。これを画像のように、大幅に削り加工します。
加工を斜め上からみたものですが、A、B二つの溝をつけてあります。Aは簡単で、ストリングをつかみやすくする導入溝です。
Bはかないまるの傑作 (?) で、ストリングを確実にペンチ面の中央に位置させるための案内溝です。
ストリングをかけたところです。良さそうでしょう。
実際にラケットにストリングを張りタイオフするときは、ストリングを左手で支えてプライヤでストリングをつかみに行くだけで自然に案内溝に収まります。
カムに軽くニス塗装をかけて、ソフトタイプのリプレイスメントグリップを張って仕上げました。とても使いやすく、スカッシュでは現在はこれを常用しています。
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その他の作品
カム・プライヤは、材料が安いのでいろいろ試作しましたが、もう一つご紹介しましょう。
ストリングを先端の右端でつかんでいるのがわかりますか。
実はこれ、先曲がりのラジオペンチ (100円) が材料です。右に曲がっているのを利用して、カム・プライヤーになったときに、ストリングをつかむ先端を右端になるようにしたものです。
はさみ面はこうなっています。大きな作用面上に斜めにがっちりとストリングをとらえることができます。元のラジペンのギザ (滑り止め) は曲がった部分から先にしかついていなかったので、ストリンギングに使うギザはかないまるがハンドグラインダーで丹念につけたものです。
またラジペンなのでワイヤカットの歯がついていますが、これもグラインダで落としました。
なかなかパワフルな感じがするでしょう。このプライヤーはストリングをガッツリと引けるのでテニス用に使っています。
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