メインとクロスのテンションについて
初稿 111025
今回は友人の指定が24ポンドです。この指定ポンドは通常メインのテンションを意味します (ショップに頼んだ場合も、ポンドを指定するとそうなります)。
クロスはメインに対して10〜15%前後テンションを下げます (スカッシュの場合で、テニスは0〜10%ダウンです)。
その理由は、クロスをメインと同じで張ると、クロスが強すぎてラケットが変形し縦長に張り上がってしまうからです。
水滴型の場合は10%アンダーで始めて、途中からさらにさげると変形がかなり少なくなります (ただし、途中で下げなくても、上から下に張れば打感はあまり変わりません)。
楕円形フレームの場合は、10〜15%下げて始めますが、そのままテンションを下げないで張り切ります(多少変形してもクロスは等テンションのまま張り上げた方が打感がよいようです)。
なおテニスラケットは、クロスのテンションダウンはメインに対して0〜10%です。横幅が広く、丸に近いほど、またフレームが強いほど下げ幅を抑えます。
テニスにおいてメインとクロスに違うストリングを使うハイブリッドの場合は、全く下げないか、逆にクロスを上げる場合もあります。これはメインとクロスのストリングの屈曲率が違うからで、ケースバイケースとなります。
フレームを変形させて使うと、カーボン繊維とエポキシ樹脂の結合に微小なはがれが生じて、短期間で性能が落ちてしまうそうです。
したがって、ラケットというのは、通常はガット張り後の形が、ガットがないときと同じになるのが理想的です。ただしなにか考えがあって意図的に変形させる場合はもちろん別です。
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このフレームの変形を防止するには、
がとても重要です。つまり架台にセットされた状態で、ラケットはほとんどなにも力がかかっていない状態にしておくのです(詳細は次項)。
メインを張り終わると、フレームは縦が縮んで、横が広がろうとしますから、サイドサポートアームとビリヤードにガッチリ食いつきます。そしてクロスを張ると、フレームの横幅を縮める力が入りますので、変形力が元に戻ります。クロスを全部張りおわったときにフレームが完全に元の状態に戻れば理想的です。クロスのテンションを決める最も基本的なよりどころがこれです。
もしそうであれば、張り上がったときにビリヤードやサイドアームにほとんど力がかかっていない状態に戻ります。これに注意すれば、寸法など測らなくても、きちんと張れたかどうかが張り上がりと同時にわかります。
もしクロスを張り終わったときに、あるいは張り進めるに連れてサイドアームがフレームから離れてスキマができてしまう場合は、クロスが強すぎるのです。
一方、張り終わったときに、サイドサポートがフレームに食いついているようだと、それはクロスのテンションが足らないのです。サイドアームを外すとビリヤードも食いついて外しにくいはずです。
クロスの強弱は記録しておいて、次回のストリンギングで修正しますが、あまり強く変形しているようならすぐに切って張りなおします。
そういうわけで、クロスのテンションは一般的にはメインより下げます。どのくらい下げるかは、ラケットごとに違います。したがって張ってみるまでは最適なクロスのテンションはわかりません。
そこでかないまるは、初めて張るスカッシュラケットは、メインに対してクロスを水滴で10%、楕円で15%下げてまず張ってみます。
そして、張りあがりでサイドサポートとフレームにスキマができたら、それはクロスが強すぎるので、次回は少しクロスのテンションを下げます。逆に、張り上がったときにサイドサポートを外したあと、ビリヤードがきつい場合は、次回はクロスのテンションを上げます。
ちなみに、テニスはクロスのテンションが高い方がメインが滑りやすくなり、ドライブがかかりやすくなります。ラケットさえ丈夫なら (または消耗品と考えるのなら) それもありです。息子が高校のテニス部のときは、バボラ+プロハリでしたが、縦横とも53ポンドで張らされていました。バボラはわりと円形に近いので、等テンションでもあまり変形しないので、これが可能です。
なお、クロスのテンションが難しいのはプリンスのラケットで、グリップ側のアーチに全部のガットを集めるタイプです。これはグリップ付近のメインが非常に狭くて、クロスのテンションを、1ポンドずつ、三回くらい段階的に下げる必要があります。
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