ストリンギングの記録
スカッシュラケット編

〜水滴型、マス目系ラケットの例として〜
テクニファイバー・CARBOFLEX 130 Basaltex

初稿 111025
更新 111115


スカッシュラケットは、

の三タイプがあります。大昔 (30年前)のウッド時代のスカッシュラケットはバドミントンと同じ円形。グラファイト時代も円形でしたが、カーボン時代に入り水滴型になりました。スカッシュは壁際ゼロセンチの球も返球するので、ラケットの先端でも飛ぶ必要があり、今でも水滴型が主流です。

ここでは最も代表的な水滴型・マス目タイプのテクニファイバーのラケットを張ってみます。



テクニファイバーの CARBOFLEX 130 Basaltex です。丁度撮影の準備をしたときに張りを依頼されたのでこれにしました。かないまるの愛用ラケットであるC2Cオーロラ(ブラックナイト)でもほとんど同じ張り方です。


どんなラケットでも、メイン(縦糸)から張りますが、問題はクロスの張り方です。水滴型のスカッシュラケットは、クロスをトップからグリップに向けて張るのが良いと思います。

というのも、クロスは、後から張るものほどメインと強く交差し、テンションの安定性が悪くなります。つまり一本一本のクロスのテンションがバラツキ易いのです。またストリングやフレームにストレス (変形) がたまり易いのか、注意して張っても打感が硬くなり飛びにくかったり、逆にテンションが抜けてしまい緩んだりと安定しません。スカッシュの場合は楕円型でも上から下が無難なのではないかと思います。

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ところがスカッシュラケットの多くは、メインが7X2本が普通です。水滴型は中央のメインをトップ側からグリップ側に向かって通しますので、一本張りの場合メイン7番の終了はグリップ側になります。なのでそのまま張るとクロスを下から上に張ることになり、理想と逆になってしまいます。




そこで上図のような、ボックス張り (アラウンドザワールド) というのを行います。まずメインの1番から張り始め、左右6番まで普通に張ります。ショートサイドは6番で打ち切ってタイオフします。

ロングサイドの6番を張り終わったら、ピンク色で示した経路で、クロス、メイン、クロス、メインと張って一周します。これを「ボックス」とか「アラウンドザワールド」と呼びます。

問題はこのこの18番クロスを張るときに、5番メインの下を通すか上を通すかです。1番クロスと18番クロスが離れているので、ここの位相を判断するのが難しいのです。

位相の判定方法は、全ての交差点は一つ隣が逆位相ですから、一本のメイン上のクロスは奇数番と偶数番が逆位相になることを利用します。具体的には次のようにします。

これは、慣れれば図は書かなくてもわかります。でも、かないまるは友人のラケットを張るときは、必ず図を作ります。一度作ると、次回は図を出してくればなにも考えなくていいので楽だからです。

なおテンションは、このボックスが終わるまで (右側の7番メインが上がるまで) はクロスもメインのテンションで張ります。そして、クロスの2番からクロスのテンションで張ります。





水滴型の張りの開始方法です。ここでガット上のA点 (端から2.6m) をトップにして、ショートサイド (2.6m側) を左側、ロングサイド (残り) を右側と考えます。

そのあとは左3番右3番、右4番左4番、左5番、右5番、右6番と交互に張り進めます。

左6番メイン(ショートサイド)と張ったところで、ショート側を6番メインでタイオフ。ロング側は ボックス張り一回のあと、上から下に向かってクロスを張り、一番下を張ったあとタイオフします。

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ここでテンションをかける順番を復習すると、

となっています。慣れればごく自然な順番です。

概ね左右交互ですが、途中で一度だけ左右の進みが代わっていて、左右のテンションがよく揃うストラテジーだと思います。

メインとクロスのテンションについて


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