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07) PS-2500新旧ロットを構造比較しました
200215

#PS-2500
#PS2500
#TTS-2500、TTS2500
#PS-2250

かないまるがベルトドライブにひけを取らないダイレクトドライブとして選定したPS-2500 (モーター単体の型番はTTS-2500) 。1971年製ですが、たいへんに品質がよくて壊れそうにないですが、補修パーツはやはり持っておきたいです。

実はすでにシリアル番号が近いものを一台確保はしてありますが、完全にばらしてみたくて、動作を保証していない安いものを追加で落札しました。2400円+送料。

そうしたら、びっくりポン。初期ロットだったようで、いままで持っていたものとかなり違います。そこで、気づいたことをここに書き留めておきます。



後期型

これは現在使っているものです ( 02) で紹介した画像です)。シリアル番号は3782です。製造はソニーオーディオ(株)。今はもうありませんが、かないまるがCDP-R1を作ってもらった工場です。



初期型

こちらが初期型です。シリアル番号は838。

まずびっくりポンなのがモーターです。通常型はダイキャストですが、初期型はなんと旋盤削りだし。おそらく、TTS-4000のモーターと共通でしょう。

TTS-4000は世界初のダイレクトドライブフォノモーターですが、基本的には削り出しのハウジングです。しかしTT-4000の後期型には、PS-2500のダイキャストハウジングを使ったと思われる画像がネット上にあります。


後期型のTTS-4000 (海外仕向け専用?)

これです (出所はこちら)。海外用かもしれませんが、紛れもなくTTS-4000です。ですのでモーターは互換性があるのだと思われます。今回はまだ取り外していないのですが、いずれ外したら近接画像をご紹介しようと思います。

PS-2500はターンテーブルが二重構造になっています。モーターでインナープラッターをまわし、その上に30センチのプラッターが乗っています。そのインナーターンテーブルがかなり違います。


後期型



初期型

いかがですか。下の画像が初期型についていたものです。いや、かっこいいですね。しびれます。サブプラッターの加工方法のほか、滑り止め (と思われる) ゴムが小さくなっています。これは多分音質変更だと思います。メインプラッターを持ち上げてしまうのを防止したのでしょう。


左初期型、右後期型

初期型と後期型のモーターを取り出して並べてみました。取り付け面から上は1ミリ違いますね。初期型のほうがプラッターが1ミリ高くなります。取付面から下も後期型のほう小さくて、それは2〜3ミリです。これで中身が同じか違うか…。開けてみないとわかりませんね。そのうち開けるしかないでしょう。(^_^;)

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大きな違いは以上ですが、細かい違いが沢山あるので記載しておきますね。

  • カットコアトランスが初期型は含浸されていない(あるいは非常に粘度の低いワニスが使われている)のに対して、後期型は粘度の高いワニスでしっかり含浸されています。振動止めか音質改善だと思われます。
  • モーターボードの裏側が塗装無しから塗装ありに変更されています。これは反り防止かな。
  • アームの根元が裸だったのがシールドケースがついています。グラウンドの撮り方も変わっていて、ハム止めで苦労した感じがします。
  • アクリルケースのヒンジの構造が変わっています。理由は不明。

後期のヒンジ


初期のヒンジ

    上が後期型、下が初期型です。初期型は上からはめた後横にスライドするもので、今も一般的なものですが、嵌め合いを緩くすると外れやすいので、安全のために変更したかもしれません。後期型は上から差し込むだけで、ズレて落ちることはありません。

  • アクリルケースの衝撃止めゴムが、本体側に穴をあけてゴムを挿入から、ケース端ゴム取り付けに変更(コストダウン?)。
  • 出力のフォノケーブルが太くなった。これは低容量化ですね。
  • ケースから出力ケーブルの出口がただの穴だったのが、金属ブッシュがつくようになっています。ブッシュはついてて当然で、初期型が安易だと思います。
    なお、アームレスのPSE-2500というモデルが存在しますが、これは当然ですが金属ブッシュはついていません。
  • 注油期間「1年」がシール訂正だったが印刷に変わっていました。まあ初期ロットは急場しのぎで、第二ロットから印刷物をかえたのでしょう。。
  • 輸送ロックビスを差しておくシールが赤から白に変わった(赤は危険な感じがする?)。

結構変化していますね。

なおメインプラッターはまったく同じものでした。また、単体販売のTTS-2500には電源部 (活電部) を覆うカバーがありますが、PS-2500はケースに入っているので活電部は外に出ないためかカバーがありません。これはコストダウンかな。

製造所を示す電取記号はSOAU。これはソニーオーディオ(株)を意味しますが、今はもうありません。かつてCDP-R1を製造してもらったなつかしい工場です。



初期型背面のシリアル番号板です。シールではなくてアルミ板です。こういうのを「機銘板」といいます。後にアルミ箔押のシールになり、現在は印刷してシリアルだけ紙シールというのが普通になりました。PS-2500はアルミ板だというだけでなく、番号も刻印してあります。工場に打刻機があったのでしょう。さすが1971年製。



PS-2500は木製のキャビネットなので、フロントにも「銘板」があります。3ミリくらいの厚みのある黄銅版に彫刻をおこない、黒の色入れをしたあと表面加工をした超立派なもの。半世紀前、この商品が高級機だった証ですが、当時の持つ喜びはどんなだったでしょう。



(2020/1/15〜2/15に撮影)

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