音場処理DSPの役割
初稿021029
では、下半分(つまり後半)の音場処理DSPはなにをするのでしょう。
このDSPは、まず音場処理(sound field processing、またはsurround modeなどと呼ばれる処理です)が行われます。ソニーの場合はデジタルシネマサウンド処理がこれにあたります(後述)。
この音場処理は、一言でいうと家庭と映画館との違いを埋める処理ですが、オーディオメーカーごとに非常に重視するか簡単な処理で済ませるか、あるいは全く処理しないか、など、いろいろと違いが出る部分です。
ソニーの場合映画会社を傘下に持つこともあり、家庭と映画館の音場の違いをよく知っています。またその再現は芸術的意味合いの再現性に影響があるケースもあるととらえていて、デジタルシネマサウンドはセット自体の音質向上と並んで大切な処理であるとしています。もちろんDSPのリソースをたっぷり与えて、業界最高クラスの高度な処理を行っています。
続くイコライザー処理は、音色調整機能です。複数の周波数ポイントの強さを変えられる仕組みですが、もっとも簡単なものは、低域と高域をそれぞれ増減できるトーンコントロール処理となります。
最後の「base management」は、低域のでないスピーカを使っているチャンネルから低域を抜き出し、低域の再生能力を持つチャンネルに回す機能です。また「 speaker configuration」機能は、たとえばセンタースピーカが無い場合、その音をL/Rに回して音を出すなど、スピーカーが存在しないチャンネルの音を違うチャンネルから再生する機能です。
この「base management」や「 speaker configuration」機能は、音場処理が無い場合はデコーダDSPの機能の一部として組み込まれますが、音場処理がある場合は、処理後の音を分配する必要があるので、この位置で処理されることになります。
音場処理、イコライザー処理、バスマネ・コンフィグ処理が終わると、これで信号処理は全部終了で、AVアンプ内部になるDA変換処理部でアナログ信号に変換され、さらにボリウム、パワーアンプをへてスピーカをドライブするという段取りとなります。
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