IP電話について

更新 041012
初稿 041004


最後にIP電話の話を書いておきましょう。

1. IP電話とは

IP電話とはブロードバンド通信と併せて使われる格安電話のことで、先駆けはやはりソフトバンクのBBフォンです。Yahoo! BBのADSLは遅くなる、切れるで、私は非常に不満でしたが、BBフォンについては (ADSLが切れない限り) 結構安定で、安価な電話サービスとして不満はほとんどありませんでした。音質も十分です。

解説用にまずBBフォン (初期型) で図を作りましたので、これでIP電話そのものを解説しましょう。




これがBBフォン (IP電話) の構成です。特徴はADSLモデムからルータまでの「WANのライン」にIP電話アダプタ (BBフォンアダプタ) が割り込んでいることです。同時に、電話機と電話線の間にもIP電話アダプタが割り込んでいます。


2.基本動作

では動作です。まず電話機から電話番号をブッシュすると、その番号は電話線にはつながらず、まずIP電話アダプタが受け取ります。そしてただちにWAN回線を通じてISP (Yahoo! BBなど) のサーバと交信したり、内蔵のメモリを参照するなどして、自分が繋がっているISPが扱える番号かどうか調べます。その結果、三タイプの接続方法が発生します。


3. 四タイプの接続

3.1. IP電話→IP電話

もし相手が同じISPのIP電話ユーザ (または提携ISPユーザ) の場合は、WANで相手のアダプタに直接接続し、相手の電話機が呼び出されます。この場合料金は無料となります。なお提携ISPであっても「050-」でダイヤルしないと無料にならない場合もあるようで、今後、年賀状などでの「050番号」の交換が活発になると思います。

3.2. IP電話→一般電話

相手がIP電話ユーザでない場合、あるいは提携外のIP電話ユーザの場合は、相手の近くまでIPで信号を持って行った後、通常のNTT電話回線で相手を呼び出します。この場合はほぼ市内料金で遠距離通話が可能です。また国際電話が安価なことも特長で、たとえばアメリカは3分7円〜9円となります (ISPによります)。

以上のふたつのケースでは、電話の呼び出し音 (トルルルル音) が聴こえる前に、So-netフォンでは「ピポ」という音が聴こえ、IP経由で通信を開始していることが確認できます。

3.3. 一般電話-一般電話
ISPが扱えない番号 (110番、117番、フリーダイヤルの0120-番、どこから掛けても市内料金になる0035-など) にダイヤルした場合は、一般電話線 (NTT回線) に対してアダプタが電話をかけなおし、通常の電話として通話します。上の図のピンクのラインです。このかけなおし機能を「一般電話自動再発信」といいます。

So-netフォンで使っているNECのAtermWR7610HVは、110番、117番などの三桁番号と、0120-などの無料電話は設定に関係なく「一般電話-一般電話」で接続します。

これ以外でも、IP網を利用できない番号の場合は一般電話回線を使うしかないわけですが、So-netの場合 (というかNECのルータの場合) は、デフォルトでは頭に「0000」をつけたいとNTT回線につながらないるようになっています (この理由で繋がらない場合は、ダイヤルしても「ピピピピという音が聴こえて繋がりません)。

しかし「一般電話自動再発信」という機能をオンに設定すれば、「0000」をつけなくても、自動的に繋がります。NECのルータはADSL業者もレンタル用に使っているので、デフォルトは再発信をしない設定なのでしょうが、光接続は切れないのが前提でリスクは少ないので、迷わずオンに変更しました。


3.4. 一般電話-IP電話

最後に、IP電話ユーザでない人が、IP電話ユーザに対して「050-」で呼び出した場合です。この場合は、電話をかけた人から最短の場所にあるISPに接続し、あとはIP経由でIP電話ユーザに着信します。携帯からかけても同じようになります。こ場合も料金が安くなります。

So-netフォンでは、IP経由で着信した場合、通常の「リーン、…、リーン」というベル音ではなく「リンリンリン」というような、ちょっと違った呼び出し音になります。


4. VoP、VoIPとは

IP電話 (BBフォン、So-netフォン、@niftyフォンなど) は、通常、みなこのような原理でできていますが、このように音声をインターネットプロトコルに乗せて運ぶことを、VoIP (ボイスオーバーインターネットプロトコル)、または、VoP (ボイスオーバーパケット) と呼びます。一般的にはVoIPと呼ぶようです。

また、ここで解説しているIP電話はブロードバンド通信の付加サービスですが、フュージョンコミュニケーションのように、固定電話の通信手順にIP方式を採用している場合もあり、やはり電話料金が安いという特徴があります。
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5. IP電話アダプタの構成

さて、上の原理図はYahoo! BBの初期ユーザの場合で、現在のYahoo! BBのモデムはADSLモデムとフォンアダプタが一体になっています。ユーザはPCとWANを直接つなぐか、ルータを別途購入して複数のPCと接続できます。

一方光接続業者の場合は、IP電話アダプタとルータが一体になっているものをレンタルするのが普通で、So-netが使っているのと同じNECのルータは、他の光接続業者でもレンタルに使っています。またADSL業者でも、初期のYahoo! BBのように、WAN回線までをモデムで出し、光接続業者同様、ルータ+IP電話をレンタル用に使っている場合もあるようです。


6. IP電話の音質

経験のない方はIP電話の音質はどうなんだろうと思われるでしょうが、基本的にAD-PCM後にパケット化して通信し、着信後逆の手順でDAコンバートするようなので、音質的には十分良好です。音声通話では普通の電話と全く違いはありません。家庭内のコードレス電話の子機の音質のほうがはるかに悪いでしょう。

PC通信用のアナログモデムを使うこともできます。「今どきアナログモデム?」と思われるかもしれませんが、会社のファイヤーフォール内に入るなど、セキュリティーを要求される場合は専用回線接続となるアナログモデムが必要なので、まだ役割はあるのです (ただアナログモデム信号をIP網に流していいのかという疑問はありますが…)。

So-netフォンの場合、アナログモデムの接続速度は26kbps程度が平均的に出ています。善くも悪くもならない感じ。最近はモデムの性能が非常に良いので、NTT回線では46.6.kbps (ほぼ最高速) が出ることも珍しくありませんが、IP電話はそこまでは無理のようです。しかし接続さえできればよいという用途なので、全く問題ありません。

(アナログモデムの使用可否については、その後問題点が見つかりましたので、次項7-1をご覧ください)



7. 耐負荷性能

電話アダプタとして、意外に大切なのがこの性能です。つまり負荷として、電話機を何台つなぐことができるかという性能です。

私の使っていたBBフォンアダプタは、電話機を4台以上つなぐと、電話がかかったとたんに電話を切ってしまうという、非常によろしくないクセがありました。電話をかけた方には「話し中」のような感じになり、何度かけても電話が繋がりません。なおかつ電話料金が発生しており、耐負荷性能が弱すぎます。

そこでSo-netフォンの耐負荷性能を調べてみましたが、モデム、電話機合計で6台分の負荷をぶら下げても平気で着信することがわかりました。さすがはNEC。なお、7台以上は電話機がないので試していません。

かないまる邸ではファックス電話機が2台分の負荷となるようで、BBフォンではもう一台電話機をつなぐのが限界。プラスでノートパソコンのアナログモデムをぶら下げて通信して、そのあと外し忘れると外から電話がかからない状態になっていましたが、これでその心配からも開放されます。


8. 050番号付与

BBフォンは2003年の秋に050番号が付与されましたが、末尾4桁がNTTの自宅番号と同じでした。番号はインターネットを飛び交うわけですから、これは親切なようでちょっと複雑な気持ち。

So-netフォンは申し込み時点で050番号が付与されましたが、NTT回線の番号とは全く関係ありませんでした。妙に安心。いや、心配しすぎか…。

BBフォンの050番号は今年の年賀状には入れませんでしたが、So-netフォンの番号は刷り込む予定です。



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