パワーアンプ
初稿 050120
下の画像は、いわずとしれたTA-DA9000ESのパワーアンプブロックです。
B5サブノートPC程度の面積で8Ω負荷に対して200W×7チャンネルを供給。4Ωなら220W×7チャンネルを供給できます。しかも瞬間的になら7チャンネルすべてにフルパワーを供給可能。次の瞬間にはおそらく壁のブレーカが落ちるだろうというしろものです。
実際、開発中にブレーカを何度も落ちています。パワー測定用は特別の作業台を使うんですが、それでもフルパワーを長時間測ることができませんでした。まあ、実際家庭でも同じようにパワーをとれば確実にブレーカが落ちるので、無理に測定しても意味がないんです。
もちろん音楽信号の平均電流はそんなに大きくないので、耳が壊れそうな音量にしてもブレーカは落ちないと思いますが。
さて、この驚異のパワーを取り出す源泉になっていたのが、このパワーモジュール。大きさは6センチ×4センチ程度のものですが、これ一個が1チャンネル分です。
しかし、このモジュールは、アルミ基板の表面に絶縁層を貼り、その上に銅箔の回路が作られているため非常に高価で、これをどんなに小型化したりコストダウンしたりしても、およそ1/3の価格を狙っているTA-DA7000ESは実現できません。
たとえばモジュール用の基板は絶縁層の材質まで音質を考慮して決定してあります。というのも、この材質は、CDP-R10とDAS-R10を設計したときに吟味し尽くした素材を、そのまま使っているからです。
したがって、低価格化するには、アルミ基板そのものを使わないという発想を持たないと実現しません。
TA-DA7000ESは、このような観点に立ち、柔軟な発想 (自分で書くか…) と、新型デバイスの開発によりこの問題をクリアしました。
では、詳細に先立ち、TA-DA7000ESのパワーブロックを裏側から見てみましょう。
ご覧のように、コの字形状のブロックの両袖にローパスフィルタ。下部にコネクタを持つ構造はTA-DA9000ESのパワーブロックと全く同じです。
さて、これが表側です。基板の上に分厚いアルミ板を折り曲げたものが基板にとりついています。製品ではさらにこの上にヒートシンクがひとつ、ドンととりついていますが、その下はこういうプレーンなアルミ板になっているだけです。
この画像からさらにアルミ板を外すと、下のようになります。
両サイドに大きいコンデンサが並んでいますが、その内側に四角い黒いデバイスがずらりと並んでいます。これが新開発のパワーMOS-FTEです。詳細は後述しますが、TA-DA7000ESでは、なんとモールドされたデバイスのモールド側から熱を逃がしているのです。
また中央に4個並んでいるのがS-Master処理LSIですが、これはTA-DA9000ESに使ったものより世代の新しいものが使われています。これも後ほど詳しく解説します。
フレーム表示にする (目次がないときクリックしてください)