TA-DA5500ES勉強会



位相の周波数特性が一致していない例


初稿 100104


では今度は、別のスピーカを測定して並べて比較してみましょう。



この例は、赤が前項のスピーカと同じものです (右チャンネルを表示しています)。緑はそれとは型番もメーカも違うスピーカの位相の周波数特性を測定した結果です。

両者の位相特性がズレていることが一目でわかります。低域端と高域端は一致していますが、中域の広い範囲で180度もの位相ずれが発生しています。



位相が180度ずれているということは上記の図のように、波形が半波長ずれていることを意味します。波形はひとつの山から次の山までを一周期といい、これを「360度」と定義しています。上記の例では波形は丁度半波長ずれていますが、これが180度のずれです。半波長のずれは山谷が逆ですから、丁度スピーカのプラスとマイナスを間違ってつないだ「逆位相」の状態と同じです。

逆位相の音はほとんどの方が聴いたことがあると思いますが、音源が定位を失い、何処にあるのか判別できないきわめて気持ちの悪い音です。

また単純な逆位相ではなく、ある周波数範囲が逆位相という異常な特性のため、楽曲によってはひずみ感なども発生します。

ではいっその事、このスピーカを逆位相で接続して聴くとどうなるのでしょう。残念ながらやはりうまくありません。2〜3kHzのみはあいますが、今度は3kHz以上が逆位相になりますので、これもまた空間が全くできません。残響が空中に濃淡を作ってしまうのです。実際のこの状態の音を聴くと「シャワ」っというとても奇妙な音が聴こえました。ソフトには存在しない音が耳に聴こえてしまったのです。また低域も逆位相になりますが、この状態だと低音の音圧感が下がってしまいます。

さて、このような組み合わせをフロントL/Rに置く人はいるでしょうか。ただの一人もいないでしょう。

しかし、サラウンドだったら。センターだったら。「うまく行くかもしれない」と思って試してみるケースはあるでしょう。しかし結果はよくないのが普通です。

従来はフロントを一切いじらずにこのような状況を改善する技術はありませんでした。そしてそれを初めて可能にしたのがA.P.M.です。


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