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デモ・仕事・プライベート…

かないまるお勧めのソフトたち

その6

その6の開始 120430
随時更新
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かなり多くのみなさんに「推薦盤の紹介を復活してください」と言われていました。書くとなると量が多いし、ほかの記事を優先する事情もありましたが、大阪デモで使ったディスクの紹介は約束ですので、これを契機に再開したいと思います。



[NEW] SB120501-1
---愛聴盤・試聴盤(ハードローテーション)・高音質・CD---
---120501



Yaya3(国内盤)
Yaya3

輸入盤はこちら

かないまるの最近のもう一つのハードローテーションアルバムです。
アルバム名、グループ名を正確に表現するなら「」です。「Yayaの三乗」の意味で、読み方は「ややきゅーぶど」。

評論家の朝沼予史宏さん(故人)が2002年に持参され耳にしました。6月の発売ですが、5月にはサンプル盤で聴かせていただき、発売と同時に買いました。

朝沼さんの評価ディスクは1990年代はエアがたっぷり表現されたアコースティック録音が中心でしたが、2000年代に入ると急速にロック中心となりビックリさせられたものです。当時朝沼さんは「ロックの低音がまともになるとクラシックの低音がとてもよくなる」とおっしゃっていました。これは事実で、爆音ロックのベースラインがしっかりすると、クラシック楽曲を使ってチューンするよりクラシックの低音がマトモになるのです。もちろんクラシックの低音を知っている人がチューンして、同じくクラシックを知っている人が評価した場合に限りますが、その範囲でやるかぎりロックはオーディオ機器のチューニングに欠かせません。その「ロックの朝沼さん」が久しぶりに持参したロック臭くない本格ジャズソフトがYaya3でした。

パーソネルはジョシュア・レッドマン(ts)、サム・ヤーエル(org)、ブライアン・ブレイド(ds)の3人。クリアで鮮烈なサックス、多彩な音が空を舞うドラムスも凄いのですが、オーディオ的にハードルが高いのがハモンドオルガンのベースラインです。

冒頭のベースの三連音のノート (音程) が聴こえるか。これがテーマです。

小型のシステムでは、そもそも基音の帯域が出ていないことがわかってしまうかもしれません。小型でもノートが分かる、風圧まで感ずるスピーカもあります。少ないですが。アンプもそれをドライブできる厚みがあるか。一方でキレがあるか。

ウッドベースは倍音が多いので、そこを表現できればノートはわかるものです。しかしオルガンのベースは茫洋としやすいんです。人工的な音なので変形に弱いんでしょう。加えてドラムスは弾けているか。サックスは輝かしいか。と、厳しく聴けばすごく難しいアルバムです。

でもノートが分からなくても、弾けなくても楽しめるのもまたこのアルバムのいいところです。それは演奏が素晴らしいからです。一度聴けばたぶん好きになってしまうでしょう。かないまるはチューニング初期のひどい状態のアンプで最初に聴きましたが、一発で気に入りました (アンプによくなる可能性があったからかもしれませんが)。

実はしばらく聴かなかったのですが、最近またこのアルバムを使い始めました。ファイル再生の可能性を確認していただくのにとてもわかりやすいからです。純音とエフェクタで作られるハモンドオルガンのベースは、その背景の静かであるほど深みが出ます。倍音がリッチな弦のベース (エレキ、ウッドを問わず) よりも「深み」や「静けさ」の表現が音質を感じさせるとかないまるは思っています。その点でファイル再生オーディオの可能性を理解しやすいと思うのです。大阪では「驚きました」というご感想をいただきました。

このアルバムは3曲目のThe Spirit Lives Inが名演とされているようですが、難しいのは1曲目です。冒頭のベースの三連音の音程がはっきり分かること。そのあとのベースラインが歌うか。是非チャレンジしてみてください。

(かないまるが聴いているのは国内盤ですが、輸入盤を入手して音質差を調査予定です)。



[NEW] SB120430-1
---愛聴盤・試聴盤(ハードローテーション)・高音質・CD---
---120430



Take Love Easy ソフィー・ミルマン(輸入盤)

国内盤はこちら

まずはこれ。最近の試聴でかなりのハードローテーションになっているCDです。13曲目の「Where Do You Start? 」という曲を使います。

この曲、きちんと再生できると、冒頭のピアノの音がフロントハイRの位置から聴こえてきます。つまりフロント右chのスピーカの上空、正面壁のほとんど天井に接するあたりから聴こえてくるのです。フロントハイが鳴っているわけではなくて、2チャンネル再生で高い位置になるんです。

ボーカルもほとんど天井スレスレ。大阪のデモは席が多いので、必ずしも正確な位置には聴こえませんが、それでもほとんどの方が高さ感を感ずることができたと思います(一応いろいろな席で確認してありました)。

この高さ感はミックス時の残響の入れ方で作ったものに相違ありません。なぜそう断言できるかというと、一流のポップスは概してボーカルの位置が高いことが多く、藤田恵美さんのミックスでもそれに挑戦しているからです。

なので、この楽曲は「如何に高い位置からピアノやボーカルが聴こえるか」により、システムの空間表現力がモロに分かる貴重な一枚です。

もちろん楽曲は全て素晴らしい。13曲目は海外からのお客様によくデモするんですが、みなさんしみじみとしてしまい、曲が終わるとため息をつくんです。なお、CD全部をとおして立体感がきちんとできないるかというと、そうでもありません。一曲目なんかボーカルがセンターを外しています。でもオーディオ的にではなくて、音楽として聴くと、こんなに素晴らしいアルバムがあっていいのかと思うほどです。

かないまるが仕事で使っているのは輸入盤のほうですが、実は自宅では国内盤を聴いています。二曲多いんです。このボーナストラックがまたいいんですね。



[更新] SB071029-1
---試聴用・デモ用・超高音質・SACD(CDハイブリッド音匠仕様)---
---かないまるがミックスをお手伝いした作品
---120430(最掲載)



藤田恵美
ココロの食卓

大阪デモで96kHz/24ビット2チャンネルのネットワークファイル再生のサンプルとして演奏したのが、このココロの食卓の二曲目の「アザミ嬢のララバイ」です。藤田恵美さんのアルバムは三作品の制作のお手伝いをさせていただきましたが、2チャンネルトラックでの音質的にはこの楽曲が一番でしょう。

この楽曲はホールで録音されています (このCDは4曲がホール録音ですが、どの曲かは聴けばわかります)。演奏と歌が同時録音。ホールですからねブースは切られていません。その代わり空間のつながりは残響が自然に混ざりますので非常によく、とくに2チャンネルでも高さ感がよくでます。

アザミ嬢のララバイは演奏、空間、歌の三拍子がとりわけ揃った奇跡の楽曲。CDではまあまあですが、SACDの 2チャンネルトラックではそれがもう存分に楽しめます。もちろんSACDマルチチャンネルではより温かみのある空間が出現しますが、2チャンネルでもすごく楽しめます。まだ購入していない方は是非手元に置いてください。

さて96/24の話ですが、恵美さんの楽曲の制作は既にお話ししたとおり96/24で行っています。大阪でお聴きいただいたのはSACD 2チャンネルトラック用のマスターデータです (CD用は3dBだけDレンジが小さくなっています)。

大阪でもお話ししたとおり、恵美さんの音楽データはDMR無しで販売していただくよう、関係方面にお願いしています。もし実現したらすごいことですが、そのときはみなさん、購入してくださいね。オーディオファン、恵美さんファンがハイレゾオーディオデータを有償で購入する、それも結構な数を購入する。この実績が今後のファイルオーディオの将来を決めるといっても過言ではないとかないまるは思っているのです。でた時はまたお知らせしますので、待っていてくださいね。



[NEW] SB120430-2
---試聴用・デモ用・超高音質・SACD(CDハイブリッド音匠仕様)---
---かないまるがミックスをお手伝いした作品
---120430

恵美さんの最新アルバムです。



camomile smile [Hybrid SACD]
藤田恵美

SACDハイブリッドですか、SACDは2チャンネルのみです。マルチチャンネル制作はしませんでした。その代わり2チャンネルなのにボーカルが聴こえてくる位置を高くすることを、ミックス技術としてめざしたという特長があります。

前作のココロの食卓が、とりわけホール録音の4曲が「珠玉」といってもよい立体感を獲得していました。とくに「アザミ嬢のララバイ」は、これ一曲でアルバムを買う価値があるほど。マルチチャンネルはとくにいいですが2チャンネルSACDトラックもとてもいいんです。ホール録音以外の楽曲ももちろんいいんですが、ホール録音の威力おそるべしと思いました。

で、このカモミールスマイルを作り始めたところで、かないまるは「あ、ミクシング的に高さ感を忘れている」と思いました。そこで阿部さんに「ボーカルの高さが出ることをめざして残響をつけてみましょうよ」と提案しました。この提案はとてもうまく行き、アルバム・カモミールスマイルは、全曲に渡ってボーカルの高さ感を獲得しています。また高さ感の出る条件は、声質もとてもよく響くことがわかりました。

このボーカルの高さと声質は、海外の一流のポップスではしばしば出会うものです。ミクシング技術の常道として「知っている」としか思えません。しかし日本のポップス制作の世界ではあまり一般的ではなさそうです。なぜならボーカルが概して低い。もちろん例外的に高さのあるポップスもありますよ。それは直ちにかないまるの試聴アイテムになりますが、販売完了盤が多くてご紹介しににくいんのが難点です (一例として宇徳敬子のグッバイモーニングをこの後でご紹介しておきます)。

カモミールスマイルの一押し曲は、3曲目の「エターナルフレーム」です。ボーカルの高さを残響でつけるというと、残響かすごく多いのではないかと思われるでしょうが、そうではありません。少なくてもてきます。エターナルフレームは恵美さんの「残響をほとんどつけないでください」というリクエストを守ってミックスされました。それでも高さはちゃんとでています。なのでこの楽曲はかなりドライな仕上がり。恵美さんが肉声で語りかけてくるようで、ドキっとしますが、その秘密が初期反射音の配分にあります。残響は少なくても(残響がないということはないのですが)、初期反射部分の調整で高さ感は獲得できるんですね。

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ちなみに、 DA5700ESには「ボーカルハイト」というモードが新設されています。

このモードは、2チャンネルのテレビ放送が高さ感の作り込みをほとんどやっていないことや、ニュースに至っては1チャンネル放送で高さ感はゼロ、という状況に鑑みて作ったものです。そういうテレビ放送を大画面で見ると音が地を這いますからね。すごい違和感。この問題点を解決するため、フロントハイを含むマルチチャンネル環境限定ですが、音に高さ感を与えるようにしたモードです。

このモードの開発のときにかないまるがよりどころにしたのが恵美さんのミックスのときのボーカルを高くする作業を聴いた経験です。このモードは放送ではごく普通のナレーションや中継アナウンスに残響がついてはおかしいという理念で、残響はゼロ。初期反射だけで構成という、恵美さんのミックスよりさらに難しいテーマへのチャレンジでしたが、代わりに初期反射の放射を実際に高い位置にあるフロントハイから出すことで成功しています。

したがってこのモードは「フロントハイを装備した方へのサービスモード」ですが、CDを聴くと出現する音場はゴージャスのひとことです。クセは?。まあたぶんほとんど感じないと思います。




[NEW] SB120430-3
---試聴用・高音質・CDシングル---
---120430



Good-bye Morning [Single]
宇徳敬子, 宇徳敬子&近藤房之助

最近かないまるが試聴で重宝しているのがこれ。冒頭からギター、パーカッションが鳴りますが、これが高さを伴った空間に見事に配置されています。ボーカルも高い位置に置いてあります。

そもそもかないまるは、この宇徳恵子の声がとても好きなのですが、父親が晩年入院していたとき、見舞いに行く車中でガンガン書けていたという思い出の曲です。そのときは全然立体感は聴いていませんが。

それをあるとき、仕上がったアンプでふと聴きたくなりました。かけてびっくり。すごい立体感。音色はJPOPらしさがあり少し細い感じですが、楽器の配置、リズムの聞かせ方など、海外作品に伍して聴けます。しかも冒頭に全部の楽器が揃って合奏してくれるので、瞬時にチューニング中のセットの状況がわかります。ボーカルが出るまでには立体感の判断が終わっているかな。ボーカルが出るときには、どの高さからでるかズバリわかるほどです。

でも宇徳恵子の声は特別にいいですね。冒頭の「あ〜」が、美味しい酒が喉にしみこむように、かないまるの脳髄にしみこみます。演歌だな、これは。

一緒に仕事をしているイギリス人も気に入ったようなので、一枚入手して送りましたが、先々週来日したとき開口一番「とてもよかった。毎日聴いている」ですって。外人は社交辞令が上手ですが、こいつが毎日聴いているといったら本当に聴いていると思います。

かないまるが入手した2月には新盤はなかったのですが、なぜか今アマゾンにありますね。在庫がでてきたのかな。まさかかないまるが使っているという情報が原因ではないだろうな。

もし同じキャビを使ったプレスなら、中古のほうが音質はいいと思います。作ってから時間が経っているので枯れているし。あか、そういう比較もしてみたい方は、新品と中古の両方を入手してみてください。



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