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デモ・仕事・プライベート…

かないまるお勧めのソフトたち

その4

その4の開始 080701
随時更新
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SB080723-1
---愛聴盤・好演奏・高音質・ハイブリッドSA-CD (2チャンネル)---
---[NEW]080723


イパネマの娘
グレース・マーヤ

とても素敵なボサノヴァのアルバムをご紹介しましょう。

まず、なにしろ無茶苦茶音がいい。「ボッサをこの音質で聴けるなんて」って感じ。音がいいのには理由があって、実はこのアルバムは高音質ジャズ録音で有名な88レーベルでおなじみの伊藤八十八 (やそはち) さんプロデュース。というか八十八さんが録音を手がけている作品なんですね。

藤田恵美さんのcamomile Best AudioのDSDトラックを作るのに使ったA/DSD変換器が音匠仕様が正式採用となった初シリーズの5作品に使われたものであることを先日ご紹介しましたが、そのA/DSD変換器の音質を基本チューンしたのが実は八十八さんです (変換器は、恵美さん用にかないまるが再チューンしていますが、チューンはほんのわずかです)。

そしてこの作品は、そのA/DSD変換器をなんと3台同時に使って録音したそうです。1台8チャンネルで24チャンネル。ピュアDSDの24チャンネル録音なんて、まあビックリしちゃいますね。

そんなわけで非常に音質がいいですが、けっして肩肘張った作品ではなく、極上珠玉のボッサなところがまたいいのです。全く肩の凝らないグレースマーヤのボーカルを、極上のボッササウンドが囲みます。

素敵なボサノヴァに浸りながら日光浴にドライブに。この夏休みは忘れずにこの一枚を持ってってください。

もう最高!。


SB080714-1
---試聴用/デモ用予定・好演奏・超推薦・音楽ブルーレイディスク---
---システムの腕試しに是非どうぞ 080714 (080801更新)

NHK作品はこちらに引っ越しました



SB080701-1
---試聴用・デモ用・好演奏・超推薦・ハイブリッドSA-CD---
---080701


Singles 1969-1981
Carpenters

これは本当にお勧めのマルチチャンネル録音です。でもこのコーナーでのご紹介はあえて掲載しないでいました。理由はこの盤が廃盤商品でアマゾンの定価がなく、中古や新品中古を扱うマーケットプレイスの価格が16000円まで高騰していたからです。

一度廃盤になっても、「その1」でご紹介しているプーランクのオルガン交響曲のように、リンジャパンが輸入を再開して、アマゾンでの販売が復活したケースもあります。プーランクも8000円前後まで高騰しましたが (私がいけないという説もありますが…) 正規輸入再開で3000円台にもどりました。

本作品は正規価格は復活していません。USでも廃盤のままのようです。しかし個人業者などで海外から在庫を探して輸入販売する人が増えてきたため、7/1現在で4000円前後になっていますのでご紹介することにしました。あまり在庫はないと思いますので、そのせいで再び高騰する恐れはありますが…。

Singles 1969-1981というタイトルは、実はLP時代にもあったものです。しかしそのリメイクというものではありません。

実はこの作品が作られた当時「4チャンネルステレオ」というのが流行していました。そしてこの作品は、もとが2チャンネル作品だったものをこの当時にマルチチャンネル化を一度行ったものがベースになっているようです。言ってみればcamomile Best Audioと同じような (というかはるかに上手ですが) 仕事を、20年以上前に行ったものがベースとなり、そのリメイクというのが実体のようです。

4チャンネルステレオ化当時は、天才リチャードカーペンターもその作業には完全には関わっていなかったようです。当時は無茶苦茶売れていましたので、それどこではないという事情があるでしょう。

しかしこの作品は、そのころの不完全さをなおして全く新しい作品として生み出すべく自ら指揮して凝りに凝ったリミックスを行い、念入りに仕上げた逸品となっています。2チャンネル作品では使われなかった別テイクが使われていたり、オリジナルでは聴こえなかった音が飛び出してきたりします。これが4チャンネルステレオ作品当時もそうだったかは、現在確認することは極めて困難ですが、とにかく2チャンネル作品より音数が多く別音が聴こえることもたしかです。

でもそんなことはどうでもいいのです。この作品の素晴らしさは、マルチチャンネル特有の音の分離の良さをよりどころとして、たくさん詰め込まれた音が見事にカラダを取り囲んでくれることにあります。

かないまるは背後に音を持って行かれるのは基本的には好まないんですが、この作品は背後に音があるのに気持ちよく聴けます。それはまず、背後に持って行かれて嫌な音を背後に配置しない好判断があると思います。そしてなにより、サウンドデザインとしてあくまでフロントにアンカーがあり、そこからシームレスに音が広がる構成と、間奏部分などで音が遊ぶという小粋な作りが抵抗感なく音楽を聴かせてくれるので。古い作品ベースなので゛バレバレでエフェクター的な音ももちろん聴こえますが、それらがとにかく気持ちがいい。

21曲の収録曲の中には、もちろん音の悪いものもあります。それはおそらく8トラックしかない音源から作られたものなのでしょうね。それでも2チャンネルにまとめられてしまうより、5.1チャンネルに分散して聴けることで、たくさんの音を聴きとることができます。

そして圧巻は録音の新しいもの。当時基本の16トラックは当然として、さらに別テイクや効果音がシンク録音された別の16トラックがあると思われます。もしかするとさらにもう一本くらい16チャンネルが残っていたり、音の断片が別のテープに素材として残っていたかもしれませんね。LPや古いCDと聴きくらべてみると、そこでは聴くことができない音がたくさん聴こえてきます。それが効果的にミックスされているのです。

かないまるが一番好きなのは8曲目の「This Masquerade」です。デモもこればかり。一般には「Top of the World」がデモでよく使われるようですが、かないまるのデモは終始一貫してこれです。

「This Masquerade」はとちらかというと地味な曲です。これをデモ曲に選ぶのはとてもマニアックかも。実際演奏して差し上げると、まずは「あれっ」という顔をされます。でも10秒後にはもう音に浸り、4分53秒で演奏が終了すると、みなさん感動していらっしゃいます。

元SCE会長の久夛良木さんは「PS3って音がいいんだねえ、誰が作ったの?」と冗談を飛ばしました。実は久夛良木さんもお好きな曲だったそうです。藤田恵美さんは曲が終わった後押し黙ってしまいました。後で聞いたら実は涙が出できて困っていたんだそうです。

先々週、アメリカの大手AV誌 (サウンドアンドビジョン誌やワイドスクリーン誌) のライターさんや編集者さんが数名見えたので、やはり「This Masquerade」をデモしてさしあげましたが、自分たちが若いころ馴染んだ作品に新しい命が吹き込まれていることに非常に驚かれていらっしゃいました。廃盤であることを伝え、「みなさんの筆で、再発売してもらってください」とお願いしたら、まんざらでもない顔をされていました。

天才音楽家/編集者がマルチチャンネルを使いこなした、もう最高の作品です。入手できるうちに是非入手されることをお勧めします。

(なお2チャンネルトラックは一度も聴いていないので、どんなバランスになっているか全く知りませんので念のため(^_^;))。


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