Stereo Sound誌の比較記事
音匠が好印象とされました
初稿081230
AVアンプが専門になってからちょっと距離のあるステレオサウンド誌ですが、音楽制作に首を突っ込んだらまた接点ができてきました。今回は「音匠について教えてください」ということで、宮下博さんのインタビューを受けました。最近の高音質CDについての記事をお書きになるとか。
その結果、記事がステレオサウンド誌2009冬号(第169号)に出ています。かなり後ろの方 (P584〜 )にある記事なので目立ちにくいと思いますが、各方式の音質傾向を正確に伝えているほか、かないまるの主張も正確に記事にしていただきました。
記事は4ページ構成で、かなりの字数。今読者が知りたい情報は、まず網羅されているでしょう。前半の2ページは、各方式の音質改善方法について解説があります。いろいろ出てきて混乱しているかたには、正しい知識が整理してえられるでしょう。
後半は試聴インプレッションです。SHM-CD、HQ-CDともに、特長はあるものの、高域が張った方向にシフトしている違和感を指摘されています。またこれに対するレコード会社の意見として、AD/DAやマスタリングで対応という話が出てくることが書かれています。
最後に音匠の試聴記がありますが、筆者は音匠仕様にとても好感をもたれた様子で、「楽器、・音の質感やほぐれ方、胴鳴り、そして空間表現やプレゼンスがぐんと向上。しかも、聴き慣れたポリカーボネート盤の音調がベースなので、感覚的に違和感がなく、自然なのが快い」と絶賛。
かないまるの持論である「材料をかえてもキャラクターが変わるだけで、散乱光を無くさない限り本質的改善とはならない」という意見をきちっと活字にしてくださいました。
目立たない記事ですが、示唆に富み、また内容はとても正確です。オーディオファンは是非一度読んで、その内容を咀嚼してみてください。
宮下さん、正確な記事をありがとうございました。
ここで新素材系CDの音の変化の原因について私見を述べておきます。
CDの材質を変えた場合音が変わりますが、その理由は、ディスクの振動モードとサーボ特性との両方が変わるからです。前者はキャラクターです。後者は設計中央値からのズレた結果、CDプレーヤの動特性が変化して起こります。
このうちキャラクターについては物理的にディスク固有ですから、音楽的にその傾向を使っていただいたり、マスタリングで補正することもまちがいではないでしょう。高域が張っている場合シャキッとした音質に聴こえ好印象を持つ人もおおいでしょう。しかし、キャラクタが強いと指摘された場合、それをマスタリングなどで補正する必要があるとしたら、それが何のための高音質素材なのかという疑問はあります。
次に物理特性の違いですが、透過度、反射率などが変わるとCDプレーヤのサーボ特性が変化し、その結果やはり音質が変化します。戻り光量が多くなるとサーボが安定になると思う人が多いと思いますが、戻り光は多くてもすくなくてもサーボ特性が変わり、位相余裕が小さくなります。標準ポリカからずれた特性は、全て最適サーボ状態から離れて行く可能性を持っているのです。
サーボ特性が変わるということにより、たとえばサーボ帯域が変わります。戻り光が多い場合はサーポ帯域は広がる傾向です。サーポ帯域内はスピーカからの音圧を受け安いのでシステムチューニングが難しい状態であるといえます。たとえば低域感が痩せて聴こえたら、サーポが広い方向に変化しすぎたかもしれません。そしてこの影響はCDプレーヤごとに、また環境ごとに違いますから、音の変化をマスタリングで修正することは不可能です。
こうした点から、かつてCDプレーヤ設計者だったものとして新素材系CDがどこまで続くか、楽しみに拝見しています。半年なり、一年経って、どれが生き残っているのか見物(みもの)です。
なお新素材系は全てCDしか作れません。SA-CDとCDの両方の音質向上に寄与するのは、今のところ音匠仕様のみとなります。
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