かないまるお勧めのソフトたち

補足説明のページ



初稿 070526

かないまるお勧めのソフトたちは、超詳細な説明でソフトの中身がわかりやすいと有名になりつつありますが(^_^;)、コンテンツが増えてきたせいで一覧性に難が出てきました。

そこで、見通しのよい軽いページと、さらに詳しいページという両面仕立てというのを実験してみることにしました。

(この試みは結局やめましたが、このページはそのままにしておきます)



SB070422-1


LYNX flute の、追加解説

このSACDの録音は、かなりのホールトーン型です。かないまるは最近、ステージ重視のマルチチャンネル(サラウンド)音源を中心にご紹介してきました。ホールトーンを多く取り込んだタイプの録音が、SACD初期に2チャンネル拘泥派から「いらない」と言われたことの裏張り的な気持ちは正直いってあります。

もし2チャンネル拘泥派がサラウンド勉強会を読んでくだされ、ここで紹介しているSACDを聴けば、絶対にビビると思うんですけどねえ…。

あとはステージのみえるかのような再現。そのステージから放たれる音楽に浸っていることが多い自分を、最近よく発見します。自宅ならともかく、会社では、2〜3年前にはあまりなかったことです。

でも、この録音はかないまるもある意味ビビりました。フロントステージ型とはかなり違いますが、ホールトーン型クラシックの典型とも全然違うのです。セイゲンさんによると、前作はもっとステージに近寄ったが、今回はわずかにマイクをホールよりに移動したそうです。それは成功したと思いますが、本質はそこにはなさそうです。

本質はどこか。それは、LYNXがホールを楽器の一部として鳴り切っていることです。ステージ感はむしろ鮮明ではありません。ステージ感が明瞭になる位置ではなく、各フルートがホールを鳴らしやすい場所をセンチ刻みで探してマーキングして立ち位置を決めたそうです。

多くのクラシック演奏も、勿論ホールを鳴らそうとはします。ホールトーンの消え際と会話し、次の音を乗せて行きます。しかしあくまで鳴らすのは楽器で、ホールトーンはそれを包むものです。今回のLYNXの場合は、ホールは楽器の一部です。つまりこのLYNX〜fluteは、典型的なクラシックのスタイルではないのです。もっと空間を味方に引き込んで音楽を奏でているのです。

ステージがハッキリ見えるマルチチャンネルには2チャンネル拘泥派は驚くでしょうが、このLYNXの演奏も驚くでしょう。どちらも古典的なクラシックの2チャンネル録音の枠を打破しているからです。

2チャンネルの類型こそが正しいクラシックの録音だと思っている人は、この新しい潮流を是非受け止めてみてください。でも最初は無理かもしれません。それは、この演奏と録音が、新たなスピーカのセットアップの微調整を要求するからです。

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かないまるはこの録音に触れ、フロント側(ステージ側) と サラウンド側(ホール側)の一体感を高める必用にせまられ、試聴室のスピーカの角度を再調整することになりました。調整は、楽器とホールがいかに一体化するかを目標とします。

ただし、ホールトーンは左右対象にはなりません。実はこの録音は、LYNXはステージ右に立ち、マイクはその右にいるLYNXに向かって立てられているのです。したがって、サラウンド右側が客席となりますので、反射音が少なく、残響がやや多めで遅く返ってきます。また反射音が少ないのでステージの実像感はやや希薄です。ときに右のバスfluteが不鮮明かな。

それでも各楽器は存在感を持っています。そしてその存在感とホールトーンをいかに接続するか。これがテーマです。

かないまるもいろいろと細かい調整をいろいろしましたが、一番変わったのはフロントL/Rがわずかに正面方向に開いたことです。スピーカの正面軸を延長してできる交差ポイントが、従来より30〜40センチ後方になりました。

この変更は微調整の範囲で、調整後フロント重視音源でのステージ感は壊れていませんでした。ステージとホールの合体感はむしろ緊密なものとなりました。

たとえば、新しいセッティングでユリアフィッシャーのバイオリンコンチェルトを確認してみると、ステージとソロはほとんど変わりませんが、ユリアフィッシャーがホールからのエコーの消え際と弦の発音を丁寧に接続している感じがとてもよくなっていました。エルドさんが録った諏訪内さんのバンオリンもそう。(あ、この盤は後ほどご紹介しましょうね)。結果としてかないまるのサラウンド再生はまた一歩前進したことになりました。勉強になりました。みなさんも是非挑戦してみてください。

そうそう。セットアップが完全であることの確認方法をひとつご紹介しましょう。LYNX〜fluteをかけて左チャンネルのスピーカに向かって座って聴いてみてください。つまり30度左を向いて聴くんです。するとLYNXは自分からみて右側に寄ってしまいます。でもホールトーンは左右対称に聴こえてくると思います。5チャンネルという伝送チャンネルは、ホールに正対していなくても、ホールを完全にとらえるんですね。これもまた勉強になりました。

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SB070427-1

Don't Smoke in Bed の追加解説


試聴トラックは1番と4番です。

1番は何人かの評論家も必ずチェックに使うトラックで、ベースの独奏から始まります。このベースやその付帯音には深いエコー (残響) がつけてありますが、このエコーはリスニングルームの後ろまできれいに回り込みます。回り込まないのはアンプかスピーカか部屋のどれかに問題があります。

多くの方がかないまるルームでこれを聴くと「え、これ、サラウンドではないんですか」と感想を述べられます。そうなのです。2チャンネル再生でも、残響成分のようなものは、リスナーより後ろまで音を回すことは可能なのです。

もちろん、この上の項でご紹介しているLYNXのSACDのように、演奏者がホールを楽器の一部として鳴らしているようなケースでは、サラウンドそのものをマルチチャンネルて録ったものには全くかないません。

でもクラシックの古典的なホールトーンやポップで多用される残響音は、質の高い2チャンネルならほぼ十分に周囲から背後まで広がるように再生することができます

それがため、2チャンネルでいいやという方は、今もたくさんいらっしゃると思いますが、マルチのすごさは、むしろフロントのステージの再現性なので、2チャンネル拘泥派の方にはむしろ是非挑戦していただくとして、ポイントはマルチチャンネルの基本としての「フロントL/R」の調整と、2チャンネルをより良く鳴らす2チャンネルの調整は全く矛盾しないということです

なかでも「2チャンネルでエアを耳より後ろに回す」ことは、2チャンネル、マルチチャンネルどちらのセッティングを成功させるにも共通の、再生オーディオの基本中の基本です。なので、第1トラック ( I Can See Clearly Now ) の冒頭でのベースや、その付帯音につけてある残響がリスナーの後ろまできれいにまわることが、第一チェックポイントとなります。


次にボーカル。これが十分に「点」になる必要があります。かないまるルームは比較的デッドなので、アンプの調整が仕上がってくると、ホリーコールの口は直径10センチくらいの範囲に入ります。そし、静かに歌おうが声を高めようがそこから動きません。

この「音源位置がピシっと動かない」ということは、故山中敬三先生が最も重視された評価ポイントのひとつです。先生の場合はオペラが中心でしたが、オペラの声はセンター定位ではありません。ステージ上に歌い手がいて、移動したり向きを変えたりします。その動きがみえることもオーディオの楽しみです。

でも山中先生は、たとえばバックのオケの音圧によりボーカルの位置が不自然にフラフラとするような現象をとても嫌われていらっしゃいました。人が普通に移動する以上に不自然にふらつかないこと。そういう点はとても厳しく評価されていたのです。

ホリーコールのこの盤はポピュラーのジャンルなので、ボーカルはファントムモノラルで、定位はビシっとセンターです。つまり評価ポイントはわかりやすいと言えます。そしてこの盤のすごさは、かなりエコーが深いのに、ボーカルの直接音としてのフォーカスがきわめてよい事です。

したがって、専用リスニングルームをお持ちの方は、ホリーコールの口位置が、上下も左右も直径10センチ程度の範囲から動かないことにぜひ挑戦してください。リビングでのオーディオでも、直径30センチくらいの範囲に収まることが、ひとつの目安となるでしょう。

読者の方の中には、そんなにフォーカスを固めたら、間接音がフワっとしなくて音がリッチでなくなるのではないか、硬くなるのではないかと思う方も多いと思います。でも、そんなことはないのです。

なぜなら間接音というのは小さな音である「反射音」の集合体であり、センターボーカルのフォーカスがよくなると、自動的にすべての小さな音、つまり「反射音のフォーカス」がよくなり、音はリッチに、そして弾力的で、むしろ全体的な再生音は柔らかくなるのです。

ではどうやってフォーカスをあげるか。

まずご使用になるアンプは、私が設計したものや市場で評価の高いものならまず大丈夫です。アンプに関して大切なのは置き場所です。ひどいラックを使わないこと。安物のサイドボードを上に載せるなどの無神経をしないこと。要するにしっかりした場所に設置すればちゃんとフォーカスするハズです。

一番難しいのはスピーカの設置角度。そしてルームアコースティックです。

スピーカの設置の原則は、リニング位置から正三角形の配置。バフル面はリスナー位置よりやや後ろでクロスする点に向けます。日本のオーディオ界はなぜか世界的な標準であるこの設置を大幅に外しているケースが散見されます。「サラウンド勉強会のページ」」 を参考にして十分に追い込んでください。講座の名称は「サラウンド勉強会」ですが、サラウンドの成否を決める大事な要素であるフロント2チャンネルの調整にはかなりのページを割いてあります。是非ごらんください。

ルームアコースティックも大切です。左右の壁からの第一反射音がリスナーに届く音量をなるべく小さく抑えるように吸音するか、反射音を大きめに残したい場合は、左右のバランスがくずれないように配慮しましょう。これを外すとフォーカス感が絶望的に悪くなり、ステージ感や実体感以前の「グワーン」というオーディオになってしまいます。


ボーカルの次に大事なのはピアノです。この盤のピアノはボップな感じに空中に浮遊するような音に録られています。おそらく3Dエフェクターを使っているか、近接した並行配置の2チャンネルマイクで録音されたかのどちらかでしょう。つまりピアノのホンモノ感はほぼありません。でもピアノの左手のリズムパートの「音程」が十分によく聴きとれることは大きなチェックポイントです。ベースも「音程」が常にハッキリ聴こえることが大事です

なぜピアノ、ベースともにそんなに音程感にこだわるのか。それは西洋音楽のリズム感はベースの音程の変化点で作られているからです。決してドラムをバシっと叩くアタック音ではありません。ドラムのアタックが表現しているのは「テンポ」でありリズムではありません。ホリーコールのこの名盤にはドラムスが存在しません。なので、ピアノの左手やベースの音程の変化点がキチンと聴こえてこそ、楽しめるのです。


実は、よい低音というのは量が多く聴こえればいいわけではありません。リズムを容易に聴きとれることこそが大事なのです。日本人は紙と木でできた家に住んで来た祖先の末裔なので、こと低音に関しては非常に鈍感な遺伝子を持っているようです。往々にして日本人のオーディオ再生は「低音はボワーンとしてもいいから量があればいい」という傾向があります。しかし大切なのは量ではなく、音程の変化点の聴きとりやすさなのです。


この意味で私にとって、より大事なのが第4トラック ( So and So ) です。

このトラックのベースは、第1トラックより軽快です。そしてリズミカルです。かないまるは海外出張先などでの外でのデモのとき、この曲をかけながらスピーカの位置を決めます

まず大変にラフに設置したステレオ2チャンネルで音を出しておき、左右どちらか (左からが多いかな) のスピーカを抱えてそのへんを動き回ります。

すると何処か一点でベースの音程がハッキリし、音圧感が上がり、リズミカルに聴こえるところが見つかります。これは発音しているスピーカを抱えていてもわかります。誰かに聴いてもらうことはまずしません。自分で探せます。

その位置は、その部屋の低音のスイートスポットです。その場所にすっとスピーカを降ろすと、ほぼそれでフロントの設置場所は決まってしまいます。左右を交互に2〜3回修正すると設置は完了。かないまるは最近、この儀式を「スピーカとダンスする」と表現しています。

2003年1月に北米に出張した時に、CESで私が設置するのとそっくりな低音に出合ったことがあります。VTLという真空管アンプメーカーの試聴室でした。スピーカはウィルソンのシステム7。設置はウィルソン社とのことでした。

その年の2月末。北米でのDA9000ESのデビューデモではシステム7を使いました。設置はかないまるがやりましたが、初日の鳴り具合を確認して帰国したあと、ウィルソン社がデモを見に来たそうです。システム7が変な音を出していては困るからでしょう。

結果ウィルソン社は、鳴らし方を認めてくれたのみならず、DA9000ESを2台も購入してくれました (意外でしょうが、その後ソニーは、ウィルソン社やそのとき使ったケーブルメーカーのキンバー社など、北米を代表するオーディオメーカと良好な関係を続けています)。

英国やドイツの雑誌社でも同じ鳴らし方によく出合います。What Hi-Fi誌というUKのオーディオ誌の試聴室で、置いてあるスピーカを少し動かしてみたことがありますが、見事に低音がくずれました。やはりスイートスポットに置いてあったのです。

ところが日本やアジアのリスニングルームの多くは、この低音のスィートスポットを外している (というか、そういう概念がない) ことが多いようです。

スイートスポットは一番いいところは壁から1.5メートル程度以上離れたところにあるのが普通ですが、一番壁に近いものは壁から30センチ程度のところにも見つかるのものです。少なくとも検討したのとしないのとでは全然違う音になります。部屋が狭いとあきらめずに、ぜひ探してみてください。

少なくとも部屋が左右対象に使えるのなら、かないまる邸のリビングでの非対称配置のオーディオより全然よい低音が出せる場所があるハズです。

というわけで、このソフト。聴かない日はないという、かないまるにとって最重要課題ソフトなのでした。
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SB070420-1



虹の橋 物語の詳細

「虹の橋」は、こんな物語です。


この物語は、動物サイトに広く転載されている有名なものだそうです。英語原文や詩の形式での訳は、たとえばこちらにあります。

かないまるがペットを飼わないのは、両親が「ペットは死んだときが辛い」といって飼わなかったからです。ペットの飼い方がわからないし、飼っているペットが死んだら、かないまるの性格からたぶんとても辛いでしょう。だから今も飼ったことがありません。でも、世の中にはこんな物語があるんですね。

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