ストリンギングの記録
スカッシュラケット編
プリンスO3系の張り方
その3
初稿120527
更新130519
ハープ弾き調整
ハープ弾きです (画像をとり忘れたので違うラケットの画像を使います)。
ハープ弾きをしてみると、通常のラケットに比べると音程が整っていないことがすぐにわかると思います。これはグリップ側がロッド折り返しでロスが多いことと、トップ側もグロメットではなくて大きなホールで折り返しているため、たやすくストリングが移動するためだと思います。とくに中央部分の音程が下がりやすい(テンションが小さい)のが普通です。
そこでハープ弾きをして、
まず音程の高いストリングを見つけます。そしてそのストリングを引っ張って音程を下げます。つまり音程の低いストリングから「緩みをもらう」のです。
またとくに音程の低いストリングは、その両側のストリングを引いてテンションを上げます。
音程の低いゾーン (中央付近がそうなりやすい) があるときは、一番低いストリングのとなりのストリングからはじめて、周辺の高いところに緩みを広げます。
面内に大きな音程のうねりや偏り(たとえば右半面と左反面の平均高さが違うなど)ときは、低い場所の周りからからたぐりはじめて、音程の高いゾーンに緩みを移動します。
このハープ弾きによるテンション調整は、普通のラケットではストリング技術が上達するとあまり必要なくなります。グロメットの摩擦が大きいので、先行したストリングのテンションが抜けることはあまりないからです (ハープ弾き自体はやっておいた方がよいと思います)。
しかしプリンスに限っては、グロメットではなくて大きなホールでストリングが折り返しているので、先行した中央のストリングほどテンションが逃げやすいようです。1〜2ミリの移動でかなりテンションがかわるので、大穴と棒にストリングを張るプリンスは、ストリンガー泣かせですね。かないまるの技術とマシンでは張りっぱなしではテンションはガチャガチャで、丹念にハープ弾き調整をおこなっています。もちろん丹念におこなうほど、ボールの飛びがよくなります。
クロス
このあとクロスを張りますが、今回はメイン24ポンドに対して、21ポンドで張りました。
このテンションダウン(15%程度)はスカッシュラケットでは普通ですが、ネック付近の変形が大きいときはさらに下げることがあります。いままで張ったプリンスは、このテンションは必ず下げる必要がありましたが、今回は全然変形しませんでした。最新のラケットのようですが、いろいろと改良されている感じがしました。
張り上がりました。かなりいい感じです。過去に張ったプリンスより弾きがいいと思います。とくにサイドにエアホールのあるタイプはフレームに弱さを感じがしましたし、エアホールのないタイプも若干弱さを感じましたが、今回のSPEEDPORT BLUEはかなりしっかりしていました。
クロスのテンションを下げる必要がなかったことが端的にそれを証明していますが、張っていてフレームが歪む様子もほとんどなく、張り上がりの面を叩いた音もとても感じがいいです。おー、これで引っぱたいてみたいなあ、という感じ。
後日所有者に感想をうかがいましたが「張りなおし後は、面のどこにボールが当たっているのかがわかるほどで打感がよい」とのことでした。とてもよいラケットだと思います。
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