その9

SS-K30EDとK10EDというスピーカ
(余談)

初稿 090321


LYNXのCD発売情報を書くのと、確定申告が忙しくて、ものすごく時間が空いてしまいましたが、再開します。

ところで、SS-A5やSS-AL5MK2について書いたら、少なからずユーザの方々からメールをいただきました。ご愛用の製品名が出てくるのは嬉しいものとのこと。SS-AL5MK2の前作「SS-AL5」のユーザさんからもメールをいただきました。

実はSS-AL5は、5000シリーズを作ったときに、現在はSS-AR1やAR2を設計しているスピーカエンジニアにいろいろとリクエストして作ってもらった作品で、かないまる的にも思い出深いスピーカです。

SS-AL5は口径が小さいので最大音圧がとれず本来はAVのデモには向かないのですが、小口径らしい素直でフォーカスのよい音でした。そして、かないまるが初めてAVにかかわったとき、信頼できるスピーカはこれしかなかったので、2本スタック (上側はひっくり返してバーチカルツイン状態) にしてデモで使っていました。もちろん家庭用には一本で十分です。

では、「今」かないまるが推薦できるスピーカはソニーにあるのかというと、実はあります。宣伝もデモも全然されていませんので無名ですが、SS-K30EDというモデルです。


SS-K30ED

ベースとなったモデルは同型番の北米〜カナダ仕向けモデルで、やはり同じ設計者の作品。この米州向けは外装の仕上げを安価に作った価格をかなり抑えたモデルでしたが、ユニットなどの中身はたいへんにによいものでした。

そこで日本/欧州向けにピアノフィニッシュに変更されることで音もリファインされて再発売されたモデルです (エンクロージャの仕上げは音を激変さるものです)。

実はSS-K30EDは、かないまるが「隠れて設計」した、TA-DA1200ESという、S-Master PRO搭載のデジタル2チャンネルアンプ (つまりピュアアンプ) との組み合わせで導入されました。しかし、どうしてもソニーとしては導入の主体がAVになるので導入やデモの対象から外れてしまい「隠れた名機」になってしまっているわけです。

でも音はなかなかいいんですよ。ヒミツはアーチを描いて背面でつながる「水滴型断面」の曲げ木構造のエンクロージャ。なんと背面バフルが存在しないのです。口径が大きいウーファの背圧を柔軟に支えるので低音が十分あり、70kHzまで帯域が延びているピュアカーボンツイータも水滴型の断面形状のおかげでものすごくエア感の表現が上手。

それでいて、実は板厚があまり厚くなくて、ハーベス・モニター4同様に、がんじがらめではない、どちらかというとおおらかに低音を押し出すスピーカです。もちろんエージングは必要ですが、きちんとエージングしてから設置を追い込むとすばらしい音場とリズム感が出現します。ベースモデルをカナダでデモに使ったことがありますが、お客さんも現地の販社も絶句していましたよ。

ちなみにSS-K10EDという、やや小型のモデルもあり、これもいい音がします。SS-K30EDをフロントに2チャンネル。K10EDをサラウンドという使い方もお勧め。ソニー製でサラウンドに向くスピーカは:ということなら、K10EDがお勧めできます。

あ、完っ全に脱線しましたね。ハーベスの修理に戻りましょう。





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