その7

柔構造と、側面防振

初稿 090213
更新 090402

また脇道にそれてますが、もう少し解説。

バフルが弱くてもいい。それはまちがいありません。柔構造なんです。でも正面のバフル以外の五つの面は、フロントより相対的に振動が小さくなくてはいけません。少なくとも高い周波数で鳴いてはいけません。

なぜなら正面バフル以外の面が正面バフル並みに鳴くと、バフル面とは位相の違う音が部屋の壁に反射して聴こえてしまうため、

からです。

ハーベスは制振により5面の余計な振動をおさえることで、この処理を行っています。制振材はよくないものを使うと音がよごれてしまいます。ダンパ材は車用にいろいろなものが開発されていますが、オーディオ的にはよくないものがほとんどです。たとえばPタイルなんかものすごい制振力がありますが、ものすごく音がよごれます。

しかし、ハーベスにはそういうよごれ音は全くありません。たぶん制振材を徹底的に選んだのでしょう。BBCモニター時代に作った特注品かもしれません。

かないまるもかつて非常に音のよい制振材に出合ったことがあります。潜水艦の外側の鉄を制振する素材でした。

シート材に加工してもらったら音がいいのでCDプレーヤ用に提案しましたが、当時の機構設計者に一蹴されて採用できませんでした。今なら無理にでも使わせるんですが…。できることならもう一度出合いたい素材です。


まあ、そんなわけで、古くはJBLのコントロール・ワン、最近ではモニターオーディオの安価なスピーカが、ボックスがモールドでできていて、チープに見えるのに鳴りのいいスピーカがありますが、これらはボックスは明らかに鳴いています。しかし高域がカットされているので邪魔しないし、中低域は呼吸球のように低音を出すので、以外にリッチな音がするのだと思います。これに対して中途半端な強度の木製ボックスは、きちんと防振処理をしていないとクセのある感じになってしまいます。

ハーベスモニターHL4は、大型で柔構造なのにバランスがよく、ダッドリーハーウッドの名チューンによるスピーカだと購入当初より実感していましたが、こうして板厚を計ってみると、想像以上に薄くて驚きます。




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