本家・かないルーム 08) PS-2500新旧ロットのモーターの音質比較
前項(07)でPS-2500の新旧ロットの比較をしましたが、興味があるのはモーターの音質です。初期型はどうやら砂型鋳物を旋盤で削ったように見えます。一般に砂型鋳物はストレスがなくて音がいいとされていますが、個体差も大きかったりします。そこで手元の二個をとにかく聴いてみることにしました。200223 #PS-2500 試聴方法です。 1) モーターの配線を、モーター側、ドライブ側ともに30センチのばし、ドライブ側にワニグチクリップをつけてモーターを差し替えられるようにしました。 こんな感じです。配線距離が伸びること自体は事前試聴して問題ないことを確認しました。まあ音は変わりますが、評価に影響するものではありませんでした。 2) PS-2500はプラッター下のブレーキ用の磁石がありますが、ブラッター高さが1ミリ違うのでにブレーキの効きが変わってしまいます。そこでまず磁石を削除して試聴しました。サーボは一応正常に動作します。制動磁石の有無による音質差は後半に書きます。 3) モーターシャーシは常用機の配線をカットしたくないの初期型を使いました。したがってドライブ回路も初期型です (といってもドライブ回路は新旧で変わっていないようですが)。木製キャビネットは常用機のを使いました。つまり後期型です。 4) スピーカーはELAC31.02JETです。 アームは私が調整したPUA114です。 カートリッジはXL-15です。 試聴曲はスタンゲッツのジャズサンバから DESAFINADOです。 結果です。 まず新旧比較 --初期型 (砂型鋳物?)--
ギターのエッジが少し重い。 音像を包むものが少ない。 リムショットにちょっとガタがある。 一見SNがよくも聴こえるが、なにかにマスクされて実は聞こえない音がある感じもする。 (注油してみた) 音数が増えてしなやかになった。リムショットも警戒になった。全体のエアや間接音が増えた。 76点 (注油後)
ギター、サックスの産毛もよく聴こえ、それが広がる演奏者空間が大きい。 リムショットが高い。総じて空間の広がりが大きい。 ベースも豊かな表情がある。 スティックは冷静で厳しく透明でひとを引き込むものがある。 82点。 この差は、ハウジングの製造方法もあると思いますが、経験的には、軸受の素材、クリアランス、コイルといった細かい音質改善の積み重ねの結果が聴こえたのではないかと感じました。 次は磁石の有無です。 なぜこのようにしたかは不明ですが、磁石がないと止まるまで一分以上かかりますので、マイコンのない時代だし、これはこれでいいアイデアかもしれません。もちろんブレーキ力は弱いので、演奏後は人間が手で止めることは必用です(^^;)。 試聴には初期型モーターを使いました。 結果です。 ---磁石無し---
ではなにが起こっているか。 磁石はもともとは軸摩擦しかない定常摩擦を大幅に増やします。定常摩擦と釣り合うのが平均駆動電圧ですが、テスターでみたら数倍も違っていました。 実は北米のアナログマニア向けサイトに回路図がころがっているのを発見したので解読ずみですが、トランジスタを裸のエミッタ接地で使っているところがありました。当時はごく普通の設計だと思いますが、このくらい扱う電圧が違うとリニアリティーがまるで違ってくると思います。ですのでこの変化は動作点周辺の線型性の善し悪しが聴こえたのではないかと思います。 目次へ かないまるwebトップへ (参考にしたページ https://webliker.info/52510/) |