かないまるの個室オーディオ 9) ラック その2) ラックを制振しました ガラエポダンパーのご紹介 初稿 180211 1) かないルームのラックを制振している素材は?
TAOCのSS-2は優秀なラックですが、少し鳴きが残っています。今回はラック自体を制振するという話題です。強度の高い金属製のオーディオ機器が鳴いているときに、それを適度に制振するのはなかなか大変です。そういうときの参考になるアイデアです。 前回につづき、藤本健さんのAVwatchからラック画像を転載しましょう。茶色いものが貼ってありますね。ラック上のMOTSU1296 (AD/DAコンバータ) にも貼ってあります。 これが今回のテーマの制振材です。正体は?!。 貼ってあるのはガラスエポキシ基板 (通称ガラエポ基板) です。北米の難燃規格から「FR4材」、JISの呼称では「GE材」と呼ばれるもので、30ミリ×320ミリにカットして両面テープで貼ったものです。 ガラエポ基板を両面テープで貼ると板金などの面を適度に制振できることを発見したのは30年以上も前のことです。当時は仕事ではCDP-R1を設計していたころですが、自宅ではキットを買って真空管アンプを組み立てていましたが、ボンネットが思いのほか鳴くので困りいろいろ工夫したうちのひとつです。基板も両面テープもそのへんに転がっていますので、有り合わせを使ったわけですが、音がいいのでびっくりしました。 当時はコーラル音響のフラット5というユニットを使って学生時代に組んだ自作スピーカを使っていました。懐かしい。
さて、専門的に分析するとガラエボは制振材ではありません。制振材は両面テープの糊です。ガラエポ基板は拘束材として動作しています。 簡単な説明はこちらのサイトをどうぞ。以前から「テフロンテープ(ASF110)を何かに貼った場合の制振作用は、その特殊な糊が働いていて、テープは主に拘束材」と書いてきましたが、今回の制振もおなじです。
個室オーディオのラックにガラエポ基板を貼り付けました。サイズは20ミリ×300ミリです。材料はもう何年も前に買ったものをカットしました。向こう側にも貼ったので、合計4枚貼ってあります。音の変化は最後に書くことにして、素材を説明します。 2) ガラエポ基板 普通の片面ガラエポ基板です。上述のように、FR-4材、またはGE材と呼ばれます。ガラス布にエポキシ樹脂をしみ込ませたもの(プリプレグといいます)を重ねて熱プレスしたもので、レーシングカーのボディ (FRP) と構造は同じです。銅箔もプレスのときに同時にやります。 下記が要点となります。
3)素材の入手
今回使った基板は秋葉原でジャンクで出ていたのを買った330×250くらいの生基板です。銅箔が変色していましたが制振材用途なので問題なし。 いつでも買える素材で最大サイズは「サンハヤト No.35 カット基板」だと思います。 こんなものです。購入は検索してみてください。もしこれで今回のラックを制振なら、28ミリ×250ミリ程度にカットすればほぼ同様の効果になるでしょう。 3) ガラエポ基板の切断 問題はカット方法ですね。 もしシャーリングを持っている、または借用できる方はそれでどうぞ。音質は一番いいです。 今回使ったものは、ジャンク基板を買ったときに、ハンドグラインダを水平にスライドできるようにして切断砥石でカットしました。簡易工作台というのまで買い込みましたが、今は庭でさびています。ガラス粉が飛び散るので防塵メガネ、防塵マスクは必須で、あまりオススメはできません。 少量をつくるのにオススメできるが、画像のようなプラ板用カッターでカットラインを何度も引いて溝を作り、最後にペンチで割るという方法です。根気仕事ですが、これは仕事でもやることがあります。Vカット切断法といいますが、厚みの2/3以上両側から溝をいれれば簡単に割れます。 なお、短冊になったものをカットするには金属用の鋏が使えます。
4)両面テープ まず両面テープの構造から。 粘着材を支えている基材が不織布。糊がアクリル系というのが最近の主流です。基材に不織布ではなく紙を使ったものがあります。繊維が硬いこと、繊維同士が擦れ合うためか、経験的には音質がよくありません。 紙基材と不織布基材は、照明にすかして比較すると、紙系は白っぽく不透明。不織布はゼリーのような透明感があります。 さて、両面テープをご紹介しようと思いましたが、今使っているものが入手できないようなので、下記のものを取り寄せ中です。
結果が分かったらご紹介します。 5)音質の変化 ではガラエポ基板による制振で何が変わるか。 まずフレームを叩いたとき「カン」という感じで鳴いていたのが、「コン」というおとなしい音に変わります。依然として響きがありますが、まあ適度というか。 では再生音質はどうなったでしょう。 まず音場が静かになります。音と音のスキマがはっきりして、楽器同士のセパレーションがよくなります。演奏のディティールがよくなります。リズム感もよくなります。 オケものでは木管の分離がよくなり、聴き取りやすくなります。スネアも上品かな。 「え、音色が変化するのではないのですか」。そういう感じではありません。SS-2はもともと固有音を感ずるほどではないので、もう少し高度な領域の話です。 というわけで、音色はあまり変わらない。音場の品質が上がる。演奏がみえやすくなるといった感じです。 次回は手配中の両面テープの音に付いての予定です。 その8)へ ←このページ→その10)へ 目次へ かないまるwebトップへ |